開幕戦の相手は、いきなり、まさかの…。 | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

開幕戦の相手は、いきなり、まさかの…。




オファーを断るの続きです。




VS Olimpia!2014年1月11日(土)②


 
 こうして僕は、実に半年ぶりにレアル・ソシエダに復帰する事となりました。

 条件面に関しては、決して納得していた訳ではありません。しかし、チームへの愛、チームメイトたちへの愛、ホームタウンであるトコアとトコアの人々たちへの愛で、復帰を決断しました。それに、これ以上交渉しても条件面の改善は見込めそうになかったし、下手するとこのチャンスさえ失ってしまう事になりかねなかったし、「復帰するなら、最低でも開幕戦の1週間前にはチームに合流して練習したい」という意思があった事も、決断の決め手となりました。ギリギリのタイミングと駆け引きでした。

 レアル・ソシエダの選手たちは、自分が半年前に居た頃とほとんど入れ替わっておらず、その9割がかつて共に戦った仲間たちです。合流するやいなや「Yoji、おかえり!」とみんなから満面の笑みで祝福されました。とても、嬉しかったです。僕としては正に「愛する我が家に帰ってきた 」…そういう心境でした。半年間も離れていたのが嘘のように、何も問題なく、チームにはスムーズに溶け込めました。

 こうして思い描いていた通り「開幕戦の1週間前」にチームへの合流を無事果たせた僕は、早速、試合に向けてGKたちの調整に入ります。たった1週間しか準備期間がないとは言え、正GKのサンドロ・カルカモは昨年1シーズンを共に戦った仲間。彼の事は知り尽くしており、1週間しか準備期間はないけど、その中で何をすべきかは分かっていました。

 「昨年1シーズンを共に戦った仲間」であるGKサンドロは僕の事を知っているが故に、練習初日にまるで「アミーゴ(友達)」のように接してきて、時折ふざけたり、反抗的な態度をとってきました。これを僕は、一喝。「サンドロ、ピッチの上では『アミーゴ』は存在しないんだ。俺は『コーチ』、お前は『選手』。それ以上でもそれ以下でもない。俺は知り合いだからと言ってひいきも容赦もしない。公平にGKを見ていく。そのつもりで、しっかりやれ」…こう、厳しく伝えました。ホンジュラス人はすぐ人を舐めてかかる悪い癖があります。「最初」にガツンと厳しく言っておかないと、後で全く言う事を聞かなくなって、取り返しがつかない状況になるのです。サンドロはレギュラーの座を完全に確立して「天狗」となり、監督やコーチでさえ何も言えない状態になっていました。そんなサンドロを最初から厳しく叱った事で、サンドロはもちろん、それを見ていた他のサブGKたちもしっかり素直に僕の言う事を聞いてくれるようになりました。実はチームが僕を必要とした理由の1つに「天狗になっているサンドロのコントロール」がありました。自分がコーチでなければ久々の再会で少しくらい仲良くしたいものですが、僕は心を鬼にして「プロのGKコーチ」としての役割をピッチで全うせねばなりませんでした。サンドロには「なぜ俺がここまで厳しく言うか分かるか?俺は本当にサンドロにはホンジュラス代表になり、ビッグクラブに移籍し、良い人生を送って欲しいんだ。今年はW杯もある。ぜひ、出場して欲しい。だから何か間違いがあれば、厳しく指摘しなければならないんだ」と説明しました。サンドロも理解してくれ、これ以降は僕の事を「アミーゴ」ではなく「コーチ」として敬意をもって真面目に練習に取り組んでくれるようになりました。


 こうして、レアル・ソシエダに半年ぶりに復帰して1週間のプレシーズンを行った後、ついに2014ホンジュラスリーグ・トルネオクラウスーラ(後期)」の「開幕戦」を迎えました。



 記念すべき、2014年最初の相手は…。


 何と、いきなり、まさかの…。


 前人未到「4連覇チャンピオン」の最強「オリンピア」。しかも、アウェー戦


 昨年のあの「グラン・フィナル(決勝) 」の再現。当時、ホームで先勝して優勝に王手 をかけていたにも関わらず、アウェーの第2戦でGKサンドロ・カルカモのミスで逆転負けを喫し、準優勝に終わってしまった屈辱…片時も忘れた事はありません。合う人、合う人に批判される日々…。あの試合から半年以上経った今でも、未だに批判を受けます。その「リベンジ」を果たす時が、やってきました


※ホンジュラスサッカー最高の舞台「グラン・フィナル」で致命的ミスを犯し「戦犯」にされてしまったGKサンドロ・カルカモ。試合後に泣き崩れる彼に、GKコーチとしてかける言葉が見つかりませんでした。

ホンジュラスリーグ準優勝2013



 オリンピアは昨季は優勝できず、5連覇を逃しました。オフには監督を解任し、「今季こそは」という強い意気込みで臨んできます。「最強オリンピア」には、「優勝」以外の全ての結果が無意味なのです。

 対するレアル・ソシエダは、自身が居た時に歴史的な「準優勝」を成し遂げた後、僕がパリーヤス・オネに移籍した昨季も続けて準優勝を成し遂げ、「2季連続準優勝」の快挙を達成。「単なる田舎の弱小チーム」に過ぎなかったレアル・ソシエダが、今では完全に「ホンジュラスリーグ屈指の強豪」へと成長しました。


 我々が目指すのは、もちろん、優勝


 優勝を目指すなら、例えアウェーのオリンピア戦と言えども、負けられません。



 強い気持ちを胸に、敵地へと乗り込みました…。



※今ではすっかりホンジュラス代表に定着したFWロニー・マルティネス(手前の帽子かぶっている選手)と、レアル・ソシエダで9年間プレーするキャプテンDFヘンリー・クラークと、遠征のバスの中で。ロニーは今年のブラジルW杯にも出場する可能性が高い逸材です。

VS Olimpia!2014年1月11日(土)③




※昼食で寄ったレストランに、猿が居ました。そして、目が合いました(笑)。

VS Olimpia!2014年1月11日(土)④




※今回、宿泊したのは「久米宏」のホテルでした(笑)。

VS Olimpia!2014年1月11日(土)⑤




※あっ!!あそこに、久米宏が!!(笑)

VS Olimpia!2014年1月11日(土)⑦




※バーチャファイターでこういう攻撃があったような…(汗)。

VS Olimpia!2014年1月11日(土)⑧




VS Olimpia!2014年1月11日(土)⑥





つづく



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