試練。第2節。VSレアル・エスパーニャ。アウェー。 | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

試練。第2節。VSレアル・エスパーニャ。アウェー。



修羅場を乗り越えて…。開幕戦。VSビダ。アウェーの続きです。



「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -VSエスパーニャ。8月14日①

「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -VSエスパーニャ。8月14日②



 クラブ史上初の1部リーグ昇格後、最初の試合である今季の開幕戦をビダ相手にアウェーで記念すべき「クラブ史上初の1部リーグ勝利」で飾ったパリーヤス・オネ。

 しかし今季のホンジュラスリーグも1試合1試合に喜んでいる暇は全くありません。中2日、中3日で怒涛の連戦が続いていくのです。チームも現在、1ヶ月と16日間で僅か2日間しかオフはなく、ここ3週間以上オフなし…。しかも「開幕から3試合連続アウェー戦」という、過去に1部リーグで戦った経験が全くない我々にとってはあまりにも厳しく不利な日程…。これを勝ち抜くには、体力的にはもちろん、強い精神力も求められます。

 第2節の相手は「ホンジュラス4大ビッグクラブ」の1つである、レアル・エスパーニャ。今季から、クラブW杯でコスタリカのサプリサを「世界3位」に導いたエルナン・メドフォードを監督に招聘した優勝候補。

 戦いの舞台、アウェーの地・サン・ペドロ・スーラの「エスタディオ・モラサン」に上陸…。このチームは人気と財力があるため、ここ(彼らのホーム)で戦う時は審判の判定も大きく味方する事で有名。今回の試合はその点も要注意です。レアル・ソシエダの一員として戦った昨季も、ここでは我々の明らかなゴールが誤審によって取り消されて敗北を喫しています。

 ちなみに、上の写真で僕が履いているズボンは、試合前日にチームから支給されました。全てが「前日」「当日」というドタバタ劇…。しかもデザインが異様にカッコ悪いため、僕以外のコーチは誰もこのズボンを履きませんでした(僕は魂で履きました)。



 強豪相手にアウェーで開幕2連勝なるか?


 果たして、結果は…?



※グレーがパリーヤス・オネです。





 パリーヤス・オネ、「1-4」でレアル・エスパーニャに大敗。


 前半40分までは、監督の標榜する戦術とプランをほぼ完璧に遂行し、「このままいけば勝てる」と手ごたえを掴んでいましたが、その後に恐れていた出来事が起こってしまいました。全くファールでも何でもないプレー(相手が勝手にコケた)でPKを取られてしまい、先制点を奪われる…。いくら何でもこの判定は酷すぎる。この失点により、試合前のプランを大幅に修正せざるを得なくなり、バランスを崩したチームは後半に立て続けに失点…。

 しかし、確かに審判の誤審は痛かったですが、敗北の言い訳にしてはいけません。後半の3失点は言い訳のしようがなく、完全なる我々のミス。全てセットプレーからの失点で、試合前の打ち合わせ通りにマークはしっかりと付けていましたが、集中力の欠如から壁に入るのを忘れるなどやってはいけないミスを犯してしまい、GKコーチとしてそれを修正できなかった事に大きな責任を感じました。セットプレーは「相手の最大のストロングポイント」と分かっていて準備していたのですが…。

 このチームは昨季のレアル・ソシエダと似ていて、「1部昇格1年目」「チームの大半が2部リーグでのプレー経験しかない選手たち」「外国人選手がゼロ」ですが、後に4人をホンジュラス代表に送り込んだレアル・ソシエダと比べて選手の能力は正直1ランク劣り、また「プロ意識」「謙虚さ」などもレアル・ソシエダの選手と比べて劣るため、僕は「修羅場」であるクラブハウスで「掃除の必要性」や「試合前日の過ごし方」など生活指導から行わなければならない状況です。コーチとしての仕事の難易度はレアル・ソシエダ時代よりも数段、高い。また、この第2節でも未だにレギュラーの選手が書類手続きの遅れで出場できず、それが大きく敗北に影響するなど、チームのズサンな管理体制もあります。このチームで良い成績を残す事は、決して容易ではありません。

 しかし、だからこそ、コーチしても1人の人間としても大きく成長できるチャンス。実際、今、自分の人生の中でもかつてないほど成長できている実感があります。「これも夢実現のための登竜門」と捉えて、前向きに戦っていくしかありません。


【第2節を終えてのホンジュラスリーグ順位表】


1位:レアル・ソシエダ       勝ち点6 得失点差+5
2位:オリンピア          勝ち点4 得失点差+5
3位:モタグア           勝ち点3 得失点差+1
4位:レアル・エスパーニャ    勝ち点3 得失点差0
5位:ヴィクトリア          勝ち点3 得失点差0
6位:パリーヤス・オネ   勝ち点3 得失点差-2
7位:デポルテス・サビオ     勝ち点3 得失点差-4
8位:プラテンセ          勝ち点2 得失点差0
9位:マラトン            勝ち点1 得失点差-2
10位:ビダ             勝ち点0 得失点差-3


 古巣のレアル・ソシエダが、唯一の「開幕2連勝」で単独首位。しかも、唯一の「2試合連続無失点」。今季もレアル・ソシエダの快進撃は止まりそうにありません。


 次なる試合・第3節は2日後。またしても「アウェー」で、現在、我々より順位が1つ下の7位「デポルテス・サビオ」と対戦します。

 このデポルテス・サビオのホームスタジアムは、「ホンジュラス1部リーグで最もピッチ状態が悪い」事で有名で、「ホンジュラス1部リーグで最もアウェーで勝つのが難しいスタジアム」と言われています。実際デポルテス・サビオは昨季、アウェーではただの1勝もできませんでしたが、このホームスタジアムでは無敗で勝ち点を稼いで残留しています。今季の開幕戦も4大ビッグクラブのモタグアにこのホームスタジアムで勝利。ホームでは「ホンジュラスリーグ最強」のチーム。正に脅威です。

 相当キツイ戦いになるのは間違いないですが、今後「残留争い」のライバルになる可能性が大のデポルテス・サビオ相手に、例えアウェーとは言え負ける訳にはいきません。

 アウェーで勝ち点を獲得して帰ってこれるよう、全力を尽くします!!!!!


「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -VSエスパーニャ。8月14日③



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