一生、忘れられない、瞬間。 | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

一生、忘れられない、瞬間。


「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -ホンジュラス到着!2013年2月12日(火)



 「広島→羽田→成田→シカゴ→マイアミ→サン・ペドロ・スーラ」と実に6つの空港と丸2日以上の長旅 経て…ついに、無事、我が愛するホンジュラスへと再帰還を果たしました!!

 世界一危険な都市」とされるサン・ペドロ・スーラの空港に着いてからは、約束通り200-2007シーズンに所属していたホンジュラスのプロサッカーチームCDレンカ 時代のコーチが迎え来てくれました。彼とは日本を旅立つ前からスカイプで連絡を取ってて、親身になって僕の手助けをしてくれ、今回の「ホンジュラス行き」の話をすると、こっちが頼んでもないのに「俺がYojiを空港まで迎えに行ってやる」と言ってくれ、しかもその日は本来なら彼は大事な仕事の用事があったのに「大丈夫だ。仕事は前日に変更してもらう。Yojiを迎えに行く。心配するな」と言い、本当に迎えに来てくれました。

 そのコーチに連れられてまずはCDレンカの会長と会長婦人の所に行き(レンカは数年前に売却して消滅)、そこからは今度は会長の運転で僕の目的地であるハイロ・リオスが監督を務めるホンジュラス1部リーグ(最高峰リーグ)のレアル・ソシエダ のホームタウン「トコア」まで、3時間くらいかけてみんなで車で送って行ってくれました。これだけでも本当にありがたくて感謝の気持ちで一杯なのですが、さらに会長はこの日のホテル代までも全て払ってくれ、夕食もご馳走してくれました。こんなに、ありがたい事があるでしょうか…!?(涙)

 CDレンカ時代のコーチ、会長、会長婦人の助けがなければ、僕は目的地であるトコアまで辿り着くのも困難でした。改めて「自分を支えてくれる人たちの存在のありがたみ」を噛み締めています。そして今回のハイロ・リオスからのオファーもそうなのですが、「例えその時がどんなに苦しい状況であろうと、魂込めてやってきた『過去』が、必ず『未来』に繋がっている」事を、再認識させられました。


 こうしてたくさんの人たちの支えのおかげで、ホンジュラスに到着したその日(2月12日)の内に、早くも目的地であるトコアに無事、上陸できた僕…。

 翌日(2月13日)の朝にはハイロ・リオスから連絡が入ります。実はレアル・ソシエダはこの日が大事な公式戦(リーグ戦)。ホームに今季未だに負けなしで首位に立つ「ヴィクトリア」という強豪チームを迎えて戦うのですが、その試合のために宿泊しているホテルに「来い」と言われます。ハイロ・リオスの指示通り、僕はチームが宿泊しているホテルに向かいました。※ちなみにホームの試合なのになぜ前泊をしてるのかというと、ハチャメチャなホンジュラス人は放っておいたら試合前日でも遊んでしまう可能性があるからです

 チームの宿泊先のホテルで、ハイロ・リオスと約3年ぶりの再会!!そしてその後は、監督であるハイロ・リオスの指示でチームの試合前のミーティングにも参加、そこでハイロ・リオスから「日本から来たGKコーチのYojiだ」と全員の前で紹介されます。さらにその後は、チームの車に一緒に乗って試合会場入りし、ロッカールームの中までも帯同…。まだ、全く一緒に働いていない僕が、いきな公式戦の当日に合流させられてここまで帯同させられるなんて日本ではあまりない事なのですが、さらにその後、信じられない出来事が…。

 試合直前のロッカールームでのミーティングも終わり、チームはピッチでのアップに向かいます。僕はこの日は外から試合を観戦する予定だったので、そのまま観客席に行こうとしていたのですが何とピッチアップが開始する1分前になって突然、監督であるハイロ・リオスから「Yoji、GKの試合前アップをしてやってくれ」と頼まれる!!えええ!?いや、てか、俺、さっき初めてチームに合流したばかりで、まだ1回も一緒に練習すらしてないし…。それに、今日は外から試合を観戦する事になってたから、ジーパンにスニーカーしかないし…。するとハイロ・リオスは「構わん。スパイクと着るものは貸してやる。GKアップをしてやってくれ」と言何と、合流初日でまだ1回も練習すらしないのに、いきなり大事な大事な首位チームとの公式戦の試合前GKアップをする事になったのです!!ありえない!!

 こうして、何が何だか分からないまま、即席のスパイクとユニフォームを身にまとい、突然の公式戦前GKアップを何とか無事にこなしました。日本だと「前もって言ってくれないと…」ってなるでしょうが、こちらではそんな言い訳は通用しないし、そもそも日本人の感覚では想像がつかないタイミングで、このようなチャンスやいろんな出来事が起こるので、もはや、その時その時で対応していくしかありません!!何が起こるか分からないので「前もった準備」とかはできないので、日本に居る時以上に、いつ、どこで、どんなチャンスや出来事が起こっても対応できる状態に、常日頃からしておかねばならないのです!!

 前日にホンジュラス入りしたばかりで「15時間の時差ボケ」と「丸2日以上の移動の疲れ」がある中、想像だにしてなかった突然の公式戦前GKアップを何とか終えてピッチを去ろうとしていた時でした…。


 「パチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチ!!!!」

 
 スタジアムが、割れんばかりの大きな拍手で包まれました。何とホームの満員の観客たちが全員一緒になって、僕に対して大きな拍手と大歓声を送ってくれたのです。


 僕はその瞬間…感動して、涙が出そうになりました。

 本当に難しい決断 をして、大きなリスクを背負って、この地球の裏側の異国の地・ホンジュラスまでやって来ました。そんな僕を、レアル・ソシエダのホームの観客は温かく迎え入れてくれました。
あのスタジアムの拍手喝采と大歓声…僕は一生、忘れる事ができません。心の底から感動しました。


 試合の方も、ここまで負けなしで首位に立っていたヴィクトリアに、何と「2-0」で完封勝利!!チームは前節に今季初黒星を喫して3位に落ちていたのですが、この日の勝利で2位に浮上!!自身が合流した最初の試合で、これ以上ない、正に「最高のスタート」を切りました!!※順位表は→「こちら 」!「Real Sociedad」です!



※首位ヴィクトリアに完封勝利した後、ホテルにてハイロ・リオス(向かって右のスキンヘッド)とアシスタントコーチのオラシオ・ロンドーニョと!!

「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -ハイロ、オラシオと再会!2013年2月13日(水)

 

 こうして「最高のスタート」を切った翌日(2月1日。昨日)…。初めて、チーム練習に合流して、本格的にGK練習を行いました!!3人のGKはみんなハチャメチャなホンジュラス人とは思えないほど練習には真剣かつ前向きに、凄く集中して臨んでくれ、こちらの指示や指摘も驚くほど素直に聞いてくれ、「最高のGK練習」ができました!!しかも、GK3人とも日本人にはない驚異的な身体能力とポテンシャルを持っているので「このまま練習したら、とんでもないGKなる!!何て楽しみなんじゃ!!」と、ワクワクしてきました!!

 トコア入りしてからは、日本に居た時に交渉して折り合いがついていたはずの「宿泊場所のチームの手配」をチーム幹部が凄く渋っていたのですが、ヴィクトリア戦の完封勝利の後には態度が変わってすぐにホテルを手配してくれ(チームが宿泊費を払ってくれる)、昨日は、初めてチームの会長と会って直接対談…。前向きな話ができました。

 今回のブログ内は「予定通り」とか「約束通り」という言葉を何度か使いましたが、日本と違って「予定通り」「約束通り」にいかない事だらけのホンジュラスで、「予定通り」「約束通り」以上のスピードで上陸3日目にしてここまで進めたのは、これまででは考えられない事です。

 今後も支えて下さった方々にさらなる良い報告ができるよう元気笑顔で全力を尽くしていきます!!



 …てか、

 毎日が、最高に「楽しい」!!!!!

 この「幸せ感」、半端ねぇぇぇぇええええ!!!!!

 

 

※現在、宿泊しているホテルです。名前は何と「ヴィクトリア」!おととい完封勝利をおさめたチームと同じ名前!しかも「ヴィクトリア」とはスペイン語で「勝利」の意味!これからも「勝利」を積み重ねていきます!レアル・ソシエダのホームタウンの「トコア」はホンジュラスの中では治安が良い方らしく(とは言え先日の夜は銃声が聞こえましたが)、人も温かくて最高の場所です!早くも好きになりました!これからトコアの人たちにも恩返ししていきます!

「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -ホテル・ヴィクトリア!2013年2月13日(木)




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