冷静 | 意外と近くに幸せはあったりして

冷静

ある日、山本の家に遊びに行く事になった。



初めて行く彼の部屋はいかにも男の子らしく、
少し散らかっていた。



いつも調子のいい事ばかり言って笑わせてくれる山本。



今日は少し口数が少ない。


ハル「今日は意外と静かなのね。」



山本「家にいるときはそりゃ少しは静かにもなるよ。二人きりなのにあのテンションでも困るだろ?(笑)」


ハル「確かに(笑)」



いつもと違う山本を見て、本当の彼を見れた気がして、嬉しく思った。



テレビを見ながら他愛のない話をしていたら、
時間はあっという間に過ぎていく。



なんかこの人といると楽だな。と思う。



突然山本の顔が近づいた。


キスをした。



不思議とドキドキしなかった。





黒崎との恋愛は心が完全に奪われて、
寝ても覚めても黒崎の事しか考えられない状態だった。



黒崎が愛しくて愛しくて、本当にどうしようもなかった。



その恋の突然の終わりにものすごく苦しんだわたしは、
山本とのキスでドキドキしない事に
何やら安心した気持ちになった。



こんな恋愛ならきっと傷つかずに済みそうだ。



そんな事を思いながら、キスをしていた。