このブログ記事がUPされる頃にはだいぶ時間は経っているだろうが、3.11から丸7年に到達した日のJ3開幕戦の時の話である。

その週末は被災に対する黙祷の後に家でグダグダまったりするという重要なミッションを遂行しようと思っていたら、SNSで試合の情報があった。

(筆者の自宅と同じ江東区内にある)夢の島競技場でFC東京U-23とアスルクラロ沼津が対戦するとのことである。

自宅から比較的近い会場での試合。その日本来果たすべき任務を取りやめて、急遽、筆者は春の陽気の臨海地区へと足を運んだ。

そうした中でのサッカーシーズンの始まりを感じる幸せ。そして1527人の観衆が関係者と共に震災での犠牲者に黙祷をする。

そして田中玲匡(たなか・れお)主審が決戦の火蓋(ひぶた)を切るキックオフの笛。

ただ今回このブログで紹介したいのは過去の観戦記ではなく、サッカーの本質である。

この日の90分間、筆者が目に行っていたのは沼津の10番・青木翔大(あおき・しょうた)だった。

182cmという恵まれた体躯。長い手足を活かしてゴールに背を向けた状態でボールを収めたポストプレーがチームの流れを呼び込む。

時間や空間を省略する現代サッカーでは1秒、いや0.5秒でもタメを作れる選手が重宝される。

そうしたサッカー界の嗜好の中で、青木は味方選手の上がりを我慢できる鬼キープで再三チャンスメークを成功させた。

そんな中で足元のシルキータッチもあり、ヘディングでボールをフリックさせて、味方にボールを供給する流れの中の読みも冴える。

J3レベルでは1人だけ異次元のワールドを演出。夢の島で「夢」みたいな世界を形成した10番。

この10番は今、J2でゲームメークを任せてもやれる実力がある。それがこの日の青木翔大だった。

しかし筆者が今回紹介したいのは過去の試合記録ではなく、サッカーにおける「10番」とは何か?という話だ。

その答えは②へと続く。