①ではタイにおいて、強くてもファイトマネーを散財して没落した世界王者よりも、少ない稼ぎを堅実に貯金した東洋王者の方が第二の人生は上だという話をした。

②ではフィリピンについて考えていきたい。

1990年代のボクサーに大阪からの輸入ボクサー(外国籍選手)にネルソン原田という選手がいた。

普通フィリピン人ボクサーがグローブを握る理由は貧困から解放されたいのが普通であるがネルソンの場合は違った。

ネルソンは「女の子に振られて鬱屈とした気持ちをサンドバッグにぶつけたかったから」ボクシングを始めた変わり種である。

ネルソンの場合、大阪のジムに移籍後、日本のコミッションに登録し日本タイトルを目指し、それを獲得した(手続きを踏めば外国籍選手でも可能)。

ネルソンの持つ日本タイトルを踏み台にして、世界への扉をこじ開けたい日本人ボクサーはいくらでもいた。

ネルソンはこうした選手の壁となり防衛を続けた。

一方でネルソンの普段の生活は質素そのもの。自宅のアパートには贅沢なモノは一切なく、食事も自炊である。

理由を聞いたら「物価が高いから」だそうだ。

そうしたネルソンも防衛戦に負けて引退。第二の人生を考える時期が来た。

ネルソンは日本で稼いだファイトマネーで農地を買い、マンゴーを作る農園主となった。

その一方で、フィリピンにも①のように世界王者になった選手が酒と女に散財し、ボロボロの身体で噛ませ犬になるボクサーも散見した。

今回、ウェンペットとネルソンという国籍の違う東洋では中堅クラスの堅実なセカンドキャリアについて述べた。

芸が下手くそな人間ほど生き方は上手なのかもしれない。