①では卑近な例から筆者がやっていたボクシングが試合の出場機会がないことがモチベーションの喪失となって業界の低迷に繋がったという話をした。
②ではボクシング以上に出場機会を与えるべきスポーツについて考えていきたい。
以前、サッカー解説者のセルジオ越後氏が書いた「補欠廃止論」(ポプラ新書)にも、
「ベンチ入りメンバーである控え選手は必要だが、スタンドで応援する補欠に試合の出場機会を与えるべきだ」
「『ベンチに入れなかったけど3年間頑張った部活は自分にとって勲章だ』というけど、ユニフォームを着て試合をしたがらない選手はいない」
「いくら競技人口が増えても、スタンド応援の補欠が試合に出られないなら、本当のサッカー文化ではない」とセルジオ氏は言っていた。
①で述べた筆者のボクシングでも6年間頑張ったが、出場機会を与えなかった指導者の存在に価値はないと断言する。
それ以上に、出場機会を与えるべき集団の球技でそれを与えない関係者はただの怠慢でしかない。
同じことは野球でも言える。日本のプロ野球は高い契約金を払ってプロ野球選手を雇う。
しかしその割には、支配下登録の70人+育成選手と言った多くの選手に出場機会を与えずに、いわば「飼い殺し」「塩漬け」。
こうして引退するダイヤの原石はいくらでもいる。
日本の二軍に比べて、アメリカのマイナーリーグというのは移動もキツく環境や衛生面も劣悪だと言う。
しかし一ついいところがあるとすれば、マイナーで飼い殺しは絶対に存在せず、どんな選手にも必ず出場機会というチャンスは与えられる。
こうしたチャンスをモノにできずにクビや下部リーグへの降格はあっても、チャンスがないということはない。
翻って日本のスポーツである。今の日本は急激な少子化からなんのスポーツでも競技人口は減少傾向にある。もちろん野球も例外ではない(サッカーはギリギリ現状維持)。
かつては「おまえの代わりはいくらでもいる」という時代だったが今や若者は何の世界でも貴重な人材。もはや「おまえの代わりはもういない」という世の中だ。
こうした時代に競技の脱落者を出さないためには「出場機会を均等に与える」という当たり前のことを徹底させるべきである。
いつまでも若い人材がどんどん湧いて出てくる時代ではないのだ。