①では筆者が観戦計画を立てたプロボクシング・東洋太平洋タイトルマッチに出場予定だったフィリピン人拳士の経歴に興味が持てなかった。
その拳士のイメージが、恋愛で言う「なんでも言うことを聞くだけの都合のいい相手」というイメージの女である。
一見する都合のいいが、意外とそうした女に魅力を感じない、という理由と共通するからだ、という話をした。
ここからもっと補足説明をしていきたい。
異性との交際で、優しくてなんでも言うことを聞く。そこそこ可愛い(男だったらイケメン)。身体もそれなりに締まっている。男だったらそれなりに金もある。
普通に交際するだけだったら何の問題もない相手。異性と交際するイベントの日にはこんな相手がいれば本当に都合がいい。
一家に一台あったら便利な相手。文字通り便利屋。
しかし、ただ時間を潰すような交際期間を終えて、いざ結婚という人生の一大イベントを控えて、ここで自分の心の中に巣食うモワッとした違和感。
「本当にこの相手を人生の伴侶にしていいモノか?」
ここで自分は初めて気づく。この相手は優しくて楽しい関係だったけど、逆に言えばそれだけの関係だった。
この相手とは魂を分かつような強い想いのぶつけ合うような深いメンタルでのやり取りがなかった。
そうした、ただ楽しいだけの関係で人生のパートナーとしての二輪三脚はできない→別れ話、というカップルがいても不思議ではない。
長くなったがアリエンザが出場する東洋太平洋タイトルも恋愛で言えば、そんな感じだ(結婚とスポーツ観戦を一緒にするな!という声はスルーして)。
アリエンザの出場するタイトルマッチはよく頑張る。パンチを貰っても粘る。技術も体力もある。それなりの見応えはある。
しかし。アリエンザが日本のトップレベルの拳士に勝てるイメージが湧かないのも事実。相手を食って成り上がろうという気概を感じられない。
さっきの男女の話で言えば、軽い恋愛という意味では楽しいが、結婚という重いテーマになると物足りない、いわゆる「友達以上、恋人未満」にしか見えない相手。
筆者は今現在、そうした拳士が出場する試合には4000円というチケット代と週末の夜の予定を開けておく気はない。
筆者が見たいのはリングでも男女でも、時にKO負けというボロボロで残酷な結果になっても、魂の咆哮のような剥き身の精神と肉体が激しくぶつかり合うような関係である。
正直言って、恋愛でもプロボクシングの観戦でも楽しいだけの軽い関係というのはもう十分である。
都合のいいだけの相手に魅力がないのはプロボクシングの拳士でも男女交際の関係でも一緒である。