これまで①②では異論反論は大いにあるだろうが、これまでの日韓サッカー史と筆者にとっての韓国との向き合い方について述べてきたわけであるが、③以降では実際に試合などの内容についても述べていきたい。
まず日韓双方に言えることだが、今年(2017年)のロシアW杯アジア最終予選では両国ともに苦戦をした。
現在朝日新聞でサッカー2部リーグのサポーターの小説を執筆している津村記久子氏の本で「この世にたやすい仕事はない」という作品があるが、日韓両国のサッカーでも開催国での2002年の共催以外では、いずれの大会でもアジア最終予選ではたやすい仕事の要領で勝ち取ったW杯本戦の試合はなく、今回の予選でも苦戦を強いられた。
特に日本は二次予選でのシンガポール戦でまさかのスコアレスドローだったのも記憶に新しい。
韓国も最終予選では勝ち点差が下位チームに詰め寄られ、ドイツ人指揮官を解任し、今回のE-1サッカー選手権でも来日した韓国人シン・テヨン監督がなんとか最低限のミッションをクリアしてのギリギリだったロシア行きの切符。
そうした難産の末のロシアW杯。日韓両国の指揮官は国内リーグ中心のチーム編成で、共に「急造」で「お試し選手起用」なイメージの香りがプンプンするラインナップだった。
そんななかで、日本代表はホームである東京都調布市にある味の素スタジアムでのE-1サッカー選手権の最終試合。引き分け以上でこの大会の優勝が決まる。
日本は中盤に厚みを増す4-3-3の布陣。サイドに鹿島の土居聖真と柏レイソルで期待の伊東純也。中央にJ1得点王で川崎フロンターレにシルバーコレクターの汚名を返上させたリーグ優勝の立役者の小林悠。
インサイドハーフにはW杯最終予選・豪州戦でのゴールが記憶に残る井手口陽介と代表に定着しつつある倉田秋(倉田は何気に元ジェフ戦士)。
DFはガンバの三浦弦太と鹿島で昨年のクラブW杯でクリスティアーノ・ロナウドとマッチアップした昌子源。左SBに車屋紳太郎、右SBは植田直通。GKは北朝鮮戦でファインセーブを連発した川崎の中村航輔。
対する韓国は古典的なボックスの4-4-2で強烈な身長196cmのコリアン・ハイタワーで昨年(2016年)のACL王者である全北現代のキム・シヌクとジュビロ磐田での活躍も懐かしいイ・グノとの強烈な個の能力が高い2トップでの布陣だった。
また韓国は右サイドがSBの金珍洙やSHの金民友、トップ下のチョン・ウヨンなどJを知る韓国人選手が多い面子だった。
そうした様々な思惑が交錯する中、夜の東京で豪州人のクリストファー・ピース主審が、東アジアの覇者を決める決戦の火蓋(ひぶた)を切るホイッスルを吹いた。〈④に続く〉

