これまで①から③まではE-1サッカー選手権の日本vs中国戦の試合に対する背景や試合会場などについて述べてきたが、④では試合内容について述べていきたい。
日本代表は4-3-3の布陣で、GKには北朝鮮戦で活躍した中村航輔から東口順昭へ。センターバックの要には鹿島の昌子源がDFラインをまとめて、今野泰幸がボランチ。得点源の3トップは右に柏レイソルの伊東純也、左にG大阪で実は元ジェフ戦士である倉田秋。中央に川崎の J1得点王の小林悠が構える。
対する中国は5バック気味の3-6-1で中盤に厚みを増して1トップにシャオ・ジーを入れる。
この中国代表で気になったのはDFラインを束ねる6番のガオ・ジュンイー。ガオは Jリーグのカターレ富山やアビスパ福岡に在籍した経験のある22歳。 J2の育成枠にいたような選手が、日本代表との試合で国の威信をかけて闘う。サッカーの女神は気まぐれだ。
そうした中でシンガポール人のムハンマド・タキ主審がキックオフの笛を鳴らした。個の技量では相手を圧倒する日本代表が中国の陣地を切り裂くように果敢にチャレンジする。
右ウイングの伊東純也が中国陣内を得意の縦への切り込みで積極的に仕掛ける。
しかし3日前の北朝鮮戦のアンデルセン監督もそうだったが、中国代表は守備ではゾーンを敷いてフィジカルで弾き返す身体で1対1で負けないようにして、縦に鋭いカウンターから前述のシャオ・シーや22番を付けたキャプテンマークをつけるユー・ダーバオの個人技に一任する。
よく筆者はこれを「王様FW(絶対的ストライカー)と10人の小人たち」と呼ぶがこの日の中国代表は実力では劣るものの J2でプレーオフを狙う台風の目のようなクラブの闘い方をしていた。
そうした中で前半はある意味でリッピ監督が率いる中国代表の方がペースを握っていた。
しかし初戦の北朝鮮がそうだったように、中国代表も後半の最初の時間帯は縦に切れ込む推進力のあるショートカウンターで得点シーンの場面か?というのもあったフィニッシュの精度を欠いて得点には至らず。
そうして足が止まってきた中国に日本が個の技術で応戦。後半37分に小林悠が相手DFに弾き飛ばされながらも、重心の低さでバランスをキープして角度のない位置からのフットサル選手のような反転シュートで中国のゴールマウスをこじ開けることに成功する。
後半43分にはセンターバックの昌子源が40mはあろうかと思う超ロングシュートで中国にとどめを刺す一撃で勝利を決定づけた。
しかし後半アディショナルタイムに途中出場でクラブでは広州恒大でブラジル代表キャプテンのパウリーニョと同じチームで同じポジションの11番ジャン・ウェンジャオが果敢なドリブルでカットイン。
これを山本脩斗がPAエリアで倒しPK献上。これをキャプテンのFWであるユー・ダーバオがきっちり決めて1点差。
そして試合再開のキックオフで試合終了となった。
今回初めて日本代表の試合を生で観戦したが、改めて代表の個のテクニックが高いことを痛感した。
しかし現代サッカーだと、個人技プラス組織力と走力がないと、技術は拙くても意思の疎通と走り負けないスタミナ&フィジカルを持ったチームには力ずくで潰されてしまうということも分かった。
逆に肩入れする気はないが、中国代表ももっとオフ・ザ・ボールの動きを覚えれば、これから先の日本代表にとって脅威になるくらいの潜在能力を持ったチームに見えた。
平日のナイトゲームの男子日本代表。普段から見ている J2とは違うサッカーを見られて参考になった。次は日韓戦である。


