①ではサッカー日韓戦の歴史について述べてきたわけであるが、②では現在のサッカーを通じた日韓関係について述べていきたい。
①でも少し述べたが、今の日韓関係というのはW杯の日韓共同開催以降、急速に冷え切っている。
日中戦の記事でも書いたが、東アジアにおける経済の冷え込みが、それぞれの国の権力者が隣国に責任をなすりつけるようになって、互いの存在に対してのヘイトスピーチが過激になる一方である。
日本の歴史には明治政府の1873年に当時国内の政治に不満を持つ旧士族(武士)を朝鮮半島に侵略させることで、国内の政治への不満を逸らそうとする「征韓論」という出来事があったように(結局この征韓論の時点では明治政府は韓国を侵略しなかった。日韓併合は1910年である)、国内の政治や経済に対する国民の不満を隣国に責任転嫁させるのは権力者の常であるのは歴史が証明している。
しかし、世界中で反グローバリズムの指導者が増えていく中で、現実の経済はグローバルの流れを加速させる一方である。
日本で反韓流の流れは熾烈になるが、韓国サッカー界という存在は既に日本のサッカー界にはなくてはならないモノになっている。
かつて日本のJリーグはブラジル人の補強によってプロ化を進めていったが、2013年にはJリーグのブラジル籍の選手が49人に対して、韓国籍の選手が53人と、日本国内で韓国に対するヘイトスピーチが渦巻くのとは対照的に、日本のサッカー界は韓国人サッカー選手の需要をどんどん高めていった。
ただその一方で、2014年3月8日にJ1浦和レッズで同チームに所属する李忠成選手に対して、レッズサポーターが「JAPANESE ONLY」という横断幕を掲げて、これを人種差別と捉えてFIFAの理念に反すると、事態を重く見たJリーグ側は無観客試合という制裁をクラブに課すという悲しい事件もあった。
しかし、この結論に対しては反発もあるだろうが、日韓サッカー界の流れの中において互いの立場を必要としあうグローバル化が進むという潮流は止まらない。日韓において必要なのは憎しみあうことではなく、理解しあうことである。
そうした上での日韓戦。試合のレポートについては③以降で述べていきたい。