①では筆者の関わりのあったフィリピンという国の国民的な娯楽であるバスケットと言う競技で、彼ら自身が最も悩まされた問題と言う「高さ」の問題を元NBA選手の帰化によって克服したと言う話をした。②ではそれと、その続きについて述べていきたい。

今回のタイトルにある「リバウンドを制する者は試合を制する」と言う言葉。

それは言わずもがな、ロスジェネ世代のバイブルである伝説的高校バスケット漫画「SLAM DUNK」で主人公の桜木花道が、主将であるゴリこと赤木剛憲から言われた、あまりにも有名な格言である。

桜木のポジションであるパワーフォワードやゴリのポジションのセンターというのは、ゴリ自身の言葉を借りれば「戦場だ」と言うようなゴール下の密集地帯が主戦場である。

一方で、①で述べた日の丸を背負った代表戦。Bリーグで活躍する選手が集うアカツキファイブの今回の日本vsフィリピン戦でも、日本代表の絶対的なエースガードでNBAのチームと契約した経験もある富樫勇樹がBリーグとは別人のような出来でシュートを外しまくった状況があるのがバスケットの怖さ。

そうしたアウトサイドの得点源が封鎖された時に、両チームが活路を見いだしていきたいのが、インサイドでのゴール下の闘い。

しかし、①で述べたフィリピン代表は、彼らの最大の弱点である高さと言う壁を元NBA選手と言う非常手段を使ってまで克服したのに対して、日本代表のインサイドはあまりにも非力で、それ以上に無策であった。

フィリピン代表にいた元NBAのセンターの骨格は「デカく」て「胸板が厚い」のに対して、日本代表のセンターの存在が「ひょろ長く」て「(胸板が)薄い」感じがした。

そうした中で、単純にタダのSLAM DUNK読者だったバスケ知識0の時に漫画のセリフとして聞いた「リバウンドを制する者は試合を制する」と言う言葉を思い出す。

しかしそこから20年以上の年月が経過して、バスケットファンとして見方を昇華させて改めてこのセリフを聞くと、赤木剛憲とその産みの親である井上雄彦という存在が、いかにバスケットという競技の本質を理解していたか、というのをニワカ・バスケットファンの筆者の心に叩きつけられる。

富樫勇樹のような国内最高峰のシューターでも、日の丸を背負えばガチガチに緊張してシュートを外すのがW杯予選の厳しさ。

問題は富樫がシュートを外したことではなく、シュートを外した後に日本代表のインサイドがフォローするためにリバウンドのケアをいかに準備するか?であった。

しかしこの日、シュートを外した後のケアができていたのは日本ではなくフィリピンの方だった。

そして71-77で日本はホームでフィリピンに苦杯を喫した。

SLAM DUNKという作品は、単なるオタクに過ぎなかった漫画という存在が、世界的なソフトコンテンツとしてブレイクスルーさせた1990年代を象徴するような代表的な存在であったが、2017年のバスケットW杯予選を通じて、この作品がこの競技の本質的な部分を理解した永遠のバスケットの手引き書だったということもまた証明していた。

バスケ日本代表は、ゴリが言うようなリバウンドを制するような肉弾戦に強い闘士の集団に生まれ変われるのか?それはバスケの歴史に委ねるしかないのだ。