U-24の日本代表・侍ジャパンが同世代のC・タイペイ代表を東京ドームに迎えて行った壮行試合。

この日の先発DeNAの今永昇太が伸びのある速球でC・タイペイ打線を封じてきたが、この試合の趨勢を決めるような重要なシーンが起こった。

それは4回裏。C・タイペイは打順よく3番の陽岱鋼が内野強襲のヒット。4番の王柏融も痛烈な当たりを日本のファースト山川穂高がエラーし、陽は一気に三塁まで進み、無死一塁・三塁という侍ジャパンにとってこの試合最大のピンチになった。

野球の試合というのは実力差があったとしても、必ずレベルの高いチームにも嫌な流れが来るシーンが訪れるモノだ。

このイッパツ出れば逆転され、一気に流れが相手に持って行かれるシーンで今永は奮起した。

伸びのある速球を内角攻めで勝負して、相手打者の戦意を喪失させるような三者連続三振。

ある野球ライターの言葉に「経験という名の修羅場」というフレーズがあるが、立っているだけで著しく体力と精神力を消耗するプロのマウンド上で、ここ数年、CSや日本シリーズという修羅場の中で潜在能力を覚醒させた今永はC・タイペイの若手打者を力と気持ちでねじ伏せた。

今思えばこの4回裏というのが、この試合の趨勢を決める重要な場面だったのだろう。

最大のピンチを切り抜けた侍ジャパンは、次の回に中日の京田の2点タイムリーなどで追加点。

7回表にC・タイペイのリリーフ陣が炎上し、日本が3点を追加し勝負あり。

日本の先発今永は6イニングを被安打3、12奪三振、無失点と文句なしの快投。先の韓国代表との試合ではマウンドに上がった日本の投手陣に対して、筆者は「才能を持て余している」と言ったが、この日の今永の速球には物理的なスピードに加えて、相手の戦意を根絶やしにするような強い気持ちが乗り移ったボールで相手を心を折った。今永だけは前述の言葉には当てはまらなかった。

結局試合は日本が8-2でこの大会を2連勝した。

筆者は決勝は用事があって見られなかったが、この日の今永のピッチングは日本球界を背負って立つ人材と言っても過言ではなく、高いチケット代に値する活躍だった。

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