2017年11月4日の第1土曜日にある深夜の録画枠にあるダイナミックグローブの角海老興行。外国人とのマッチメイクの試合もサクサク終わり、元東洋王者の引退式を挟んだ後、7時台という早い時間帯に最強挑戦者決定戦。いわば日本タイトル挑戦者決定戦の2試合がスタートした。

はじめにミドル級(72.57kg)の試合。ランキング1位の元重量級トップアマ・48勝(37 KO・RSC)9敗でプロ11勝(9 KO)1敗の角海老拳士・福本祥馬。対する青コーナーはアマ経験はあるが無冠でプロ転向、しかしプロではデビュー6試合でオール KOのワールドスポーツジム所属の竹迫司登(たけさこ・かずと)。

すらっとした長身の福本に対して、ガッチリした体躯の竹迫。リングで相対すると、その体格差は歴然。試合開始のゴングが鳴った。

両者プロでの試合はほとんど KO勝ちであるが、似たような戦績での叩き上げのプロとは違い、まず守備の意識が先にあってガードを高く上げる。

フェイントを掛け合いながらクリーンヒットがほとんどない、高度な技術と重量級の迫力が同居するスリリングな展開に…。

この試合は長引くか?と思った瞬間!竹迫の鋭いステップインからショートレンジのワンツーがジャストミート!もんどり打ってマットに身体ごと叩きつけられる福本。なんとか立ち上がろうとするも、主審はカウント途中にストップを宣言。アマでは実績のなかった竹迫がアマ5冠を相手にプロのリングで下克上を果たした。

そして、次にスーパーバンタム級(55.34kg)の試合。11連勝中の角海老拳士・中川勇太と歴戦の古強者である帝拳拳士の石本康隆との試合だった。

フィリピン遠征で地元選手に判定勝ちの経験のある中川はガードを下げて、スウェーバック(身体を後ろに反らせて避ける動作)を多用するナジーム・ハメド(ブライアン・ホーク?)に似たスタイル。

一方で石本は帝拳拳士らしくガードを高く上げて左ジャブ→右ストレートを繰り出す。

この試合は両者の持ち味が発揮された、この日1番の激闘だった。

筆者はよく思うのだが、プロボクシングで1番理想的な試合形式というのはA級ボクサー(野球で言う1軍クラス)の8回戦である。

10回戦や12回戦のタイトルマッチだとスタミナ配分を考慮して、優勢な方が必ず休むラウンドを入れてくる。これが観る側には「ダレた」展開を生んで試合を間延びさせる原因になる。

しかし8回戦の試合では、最初から最後まで絶え間なく全力で飛ばしていけるので締まった試合になり、観る側も集中力が切れないからダウン無しの判定決着でも楽しめる(余談だが、同じノンタイトルでも10回戦より8回戦の方が主催者側も経費が安くあがるのでいいことずくめだ)。

結局判定は2-1と割れた上に3者共に77-76と僅差のジャッジという激闘の末に、石本がかつて自身が保持していた日本タイトルの挑戦権を勝ち取った。

④ではメインの東洋タイトルをレポートしたい。

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竹迫司登(青)

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