①では船橋市で見たプロバスケ・千葉ジェッツふなばしの試合でNBAのコートも射程範囲に入れた超絶的な房総の暴走ドリブラーの動きを見て、かつてJ2を席巻したサッカーの変態ドリブルの使い手を思い出した。
このドリブルの使い手の名は谷澤達也。自分では当時のジェフユナイテッド千葉でチームで一番のイケメンと思いながら、ジェフキッズの少年に「アゴが面白いから、谷澤選手が好き」と言われて様々な世代のジェフサポに愛されたキュートな出で立ちのナイスガイだ。
しかしこの谷澤のドリブルは本物だった。かつて日本代表で自らもW杯アジア予選で果敢なドリブル突破で一時代を築いたキング・カズこと三浦知良も在籍していた「ドリブラー養成道場」静岡学園サッカー部出身という系譜を引き継ぎ、カズのドリブルがスピードよりもタイミングと相手DFとの呼吸のギャップから来るズレを突いて抜くのに対して、谷澤のドリブルはとにかく①のジェッツの富樫のような尋常じゃない加速力とタテへの推進力で相手DFの守備ブロックをまるで人間ブルドーザーのように、無人の野を進むかのように突破する破壊力で切り崩したのを覚えている。
正直言って全盛期の頃の谷澤が使っていた変態ドリブルというのは、J2レベルでは反則級の突破力だった。ジェフから一時、J1のFC東京に移籍した時も、この日本サッカー界のトップリーグの試合でレギュラーを任されていて、クラブの関係者から「ムラさえなければサムライブルー(日本代表)のユニフォームも着られるくらいのプレーヤー」とまで言わしめた。
しかし、谷澤の場合はその天才にありがちな試合によっての良し悪しのムラと、リーグ前のキャンプでブラジル人のようなグダグダな状態でチームに合流するするようなプロ意識の低さが災いした。
よく天才はその才能に溺れるというが谷澤達也というサイドハーフの場合は、その才能が自分のキャリアの仇になった部分はある。それ故に日本代表のユニフォームには縁がなかった
しかし、今回船橋で観戦したNBAのコートも狙える日本人ポイントガードには、世界最高水準のプロバスケチームのユニフォームを着てプレーすることは可能だ。富樫には才能に溺れず、節制を怠らず精進してもらいたい。
