かなり前の話だが、昨シーズン(2016-17シーズン)の船橋アリーナで行われたプロバスケBリーグ1部(B1)の千葉ジェッツふなばしvsリンク栃木ブレックスとの試合を観戦しに行った時のことだ。

この日のお目当ては「ポイントガード日本最強決定戦」だった。日本出身選手として唯一NBAのコートでプレーした経験を持つ田臥勇太が、今の日本のバスケ界で最もNBAに近い富樫勇樹の前に立ち塞がるという、バスケを知らない人間にもゾクゾクするような図式の中で、2人がマッチアップする姿が見たいと船橋へと乗り込んで行った。

この2人のマッチアップについてはもう書いたことだからここでは言及しないが、この時衝撃を受けたのは富樫のドリブル突破力である。

167cmしかない混血でもなんでもない生粋の東洋人の身体で陸上の短距離スプリンターのような急発進するとんでもない加速力と見る者を異次元空間へと誘うスピードで、2m以上あるようなアメリカの黒人や白人のビッグマンを縦横無尽なドリブルで翻弄し、相手がたまらず自分にダブルチームでマークすれば、富樫はそうした相手プレーヤーをあざ笑うかのようにフリーになったアウトサイドの味方選手にパスを供給し、ノーマークの状態で3ポイントシュートを打たせて味方にも得点を量産させるしたたかぶり。

こうしたプレーだから地元船橋の観客は富樫の試合運びに熱狂し、また富樫自身も船橋市民に愛されている。

そんな愛されキャラな房総の暴走ドリブラーに対して、どこかでデジャヴな感覚が…。

「あっ!あいつや!サッカーで今シーズン(2017シーズン当時)はJ2町田ゼルビアに行ってしまったジェフ千葉の『変態ドリブルの使い手』谷澤達也やっ‼︎」

このプロバスケ界に君臨する暴走ドリブラーの超絶的な瞬発力とJ2のDFラインを震撼させた変態ドリブルが筆者には被って見えたのだ。〈②に続く〉

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富樫勇樹。