①ではまだ設立したばかりの若いプロバスケクラブにトップレベルの選手がスタメンでなくても残留したいという話をしたが、②では翻って日本サッカー界の名門(古豪)クラブの我らがジェフ千葉はどうなのか?という話である。

ジェフに限った話ではないが、Jリーグでもかつての名門が古豪になったり低迷したクラブというのは得てして、選手とクラブの別れ際が「立つ鳥後を濁す」というパターンが多い。

またジェフの場合、ベガルタ仙台のバンディエラ(クラブの象徴である中心選手)である在日コリアンの梁勇基(リャン・ヨンギ)も入団の際は悲しい話があった。

当初、梁は当時J1のジェフに各クラブ1つある在日枠で入団する予定だった。

しかしジェフは急遽、別の選手をその枠で獲得することにした。

問題はここからで、内定が出ていた梁にジェフというクラブはほったらかしにして、最終的に補強が終わりかけた時期に一方的に契約しない旨を通告した。

何の罪もない梁を補強が済んだ終わりかけの移籍マーケットに放り出し、案の定他のJクラブは食指を示さなかった。

しかし、捨てる神あれば拾う神ありではないが、当時J2だったベガルタ仙台が梁の素質を見いだして獲得を決定。

梁はその後、W杯北朝鮮代表こそは逃したもののブラジル大会でチームへの帯同を許されるほどの選手に成長し、ベガルタもJ1に定着。一方のジェフ千葉はJ2に低迷するパッとしないクラブに成り下がった。

話を戻すが、今回のテーマである「チームへの訴求力」である。

世界2位にまでに登り詰めた正真正銘のビッグクラブである鹿島アントラーズのサポはこう言った。

「(自分のチームの)選手は送り出す時の方が(獲得時より)重要。鹿島のフロントは選手が来シーズンの構想外でもギリギリまで移籍リストには載せなくて、出来るだけいい条件で選手を移籍させるように努める。だから鹿島から出た選手は鹿島を悪く言わない。サッカーの世界は狭いからそういう噂が悪い方に出てくるクラブにはいい選手が入らなくなる」という。

翻ってジェフである。ジェフにいい選手が入ってきて、その選手がこのクラブを昇格させたいという訴求力がないのは、前述の梁のような話が出てきたからなのではないか?

「身から出た錆(サビ)」というが、会社経営でも苦楽を共にした古株の社員をリストラした会社は優秀な新規の人材の採用に苦労するというが、ジェフというクラブに訴求力がないのも、そうした部分に共通するように見える。

いい人材が入る組織、そこに人材がに残る組織というのは①のジェッツのように残る。入らない、残らないというのはそうした理由があるからなのである。

追記…このブログ記事を書いたのは2017年10月25日だったが、この年もジェフは昇格は出来なかった。しかしシーズンオフのストーブリーグで、ジェフはほとんどの主力選手の引き留めに成功した。今回はこんな記事を書いたが、フロントが過去の過ちから何かを学び、主力選手が「このクラブでJ1昇格したい」と思えるようなチームになったと信じたい。