①では稀勢の里の身体について色々書いてきた訳だが、②でも続けていきたい。

以前読んだラグビーの本でこんな内容の記事があった。

「欧州のラグビー界にもサーキットトレーニングなど筋力アップのための先駆的なトレーニング理論が導入され、ラガーマンのフィジカルというのは急激に上昇した」

「それにより、ラガーマンのタックルの破壊力も以前より桁外れに強くなった」

「しかし、タックルを受ける側の選手の耐久性というのは上がっていない」

「そのため、現代のラガーマンはトレーニング技術が進んだが故に、怪我が多くなった」

こうした内容だが、この論理はそのまま相撲にも当てはまる。

角界で近代的なサーキットトレーニングを導入したのは若貴時代の貴乃花と言われていて、その成果は対戦相手の栃東も「鉄板にブチかますようで首が痛い」とまで言わしめた。

この頃の筋力トレーニング理論からもう20年の時が経過して、フィジカルコーチが相撲取りに必要な筋肉というのを分析する技術というのは、貴乃花時代からおそらく急速に進歩して、力士全体の筋力の向上に繋がったであろう。

しかし前述のラガーマンのように力士の身体の耐久性というのは向上していない。そのため最近の場所では力士の欠場は増えた印象がある。

それは力士のメンタルの問題というより、前述の筋力トレーニング技術の進歩があったが故の問題である。

話は戻って稀勢の里である。稀勢の里は横綱だ。そのため対戦相手も三役力士が中心になる。初日の相手がいきなり小結である。当たり前に思っていたがハードなマッチメイクだ。

15日間連続で最高レベルの殺傷能力を持った力士とバンバン当たっていく。その上で筋力トレーニング理論も進歩していく。

そう考えると稀勢の里が横綱に昇進した時にはもう身体がボロボロになってしまったのもうなずける。

このブログをUPする頃に稀勢の里の状況がどうなっているかは分からないが、力士というのは脳にも衝撃を受けるから短命な人も多い。過度な期待をかけるより休ませてあげたいというのが筆者の本音である。

稀勢の里に悔いがなければ筆者はもう十分である。