①では2000年代におけるプロスポーツと試合中継テレビ局との放映権料という莫大な金を仲介にした蜜月時代について述べた訳であるが、②では2010年代のプロスポーツと放映権料について考えていきたい。
2010年代というのは周知の通りスマートフォンの時代で試合の映像というのがSNSなどで簡単に見られる時代となり、①で述べたような単純なテレビ放映権料というビジネスモデルの崩壊の危険性、いわば「終わりのはじまり」という時代でもあった。
こうしたテレビ放映権料との蜜月関係の時代が終焉すると察知したプロスポーツビジネスがある。プロ野球である。
プロ野球は周知の通り、2004年の近鉄・オリックスの球団合併問題から端を発した球界再編問題で、ファンも現場関係者も放映権料を含めた既存のプロ野球ビジネスの放映権料モデルの崩壊をいち早く察知していた。
折しも球界の盟主・巨人軍の視聴率低下もあって、次のビジネスモデルの構築する必要性に迫られた。
その10年以上、日本球界が採った政策というのはJリーグのような地域密着や球場に来たファンに対して、清潔なトイレや飽きの来させない豊かな食のテーマパークとしての要素。
試合以外の様々な楽しいイベントと12球団全てが、テレビ放映権料と親会社の補填を期待するのをやめた自立経営の努力をするようになった。
こうしたビジネスモデルの変化は音楽業界が、CDが売れなくなり、ライブとファンとの接点を持ったイベントを増やすことによって収益構造を変化させて、利益を確保したプロセスにも似ている。
こうした、2000年代のプロスポーツとテレビ放映権料という蜜月時代の関係の終焉から、2010年代に入りプロスポーツのライブ収益化という時代へと変遷するプロセスへとプロスポーツ界は大きく舵を切った。
こうしたプロスポーツビジネスの変化に対応できないコンテンツというのは、早晩衰退するしかない。
ニーチェの言葉に「脱皮できない蛇は死ぬ」という言葉があるが、プロ野球界のように新しいビジネスモデルに脱皮できないと、古いコンテンツが待つ先は破滅のみである。
参考文献 Sport Management Review 2006 vol.3