こうして試合は中盤の5回表に入った。群馬の先発・本田はここまで許したランナーはヒットで出塁した1人だけと完璧なピッチングだった。

 しかし、この回ヒットで許した走者を一塁においた2死後。武蔵の下位打者に甘いコースを持っていかれて、まさかの同点ホームラン。試合は振り出しに戻った。


味方が同点に追いついてくれた次のイニングというのは、どんな野球でも重要になる。

しかし、武蔵は変則サウスポーの先発から5回以降に後を託した2番手投手がピリッとしない。

ストライクが入らず、群馬でクリーンナップの井野口にカウントを取りに置きに行ったボールをフルスイングでレフト場外に持っていかれる。

外国人打者のようなパワーを持つ井野口の勝ち越しホームランで群馬は突き放す。

ここからは両チーム継投策に出た。とにかく1イニング、1アウト取るのに一人一殺ではないが、両軍必死のプレーで追加点を許さない引き締まった試合展開に…。

最終的に群馬が武蔵の後続を断ち切り、結果的に井野口の場外弾が決勝点となり、ホームの群馬が武蔵を3-2で下し、既に決めていたBCリーグ東地区の優勝を自分たちの手で有終の美を飾った形になった。


今回初めての独立リーグ観戦となったが、ネットや紙媒体で言うほど草野球みたいな低レベルな試合ではなく、エラーも両軍で合計1つだけで、四死球も少なくかなり締まった内容だった。

この試合のチケットは1500円だったが、それだけの価値のある試合を見たという実感は湧いた。

ただ、仮にこの試合に3000円の価値があるかといえば「?」であるのも事実。

この日の3回裏に群馬のカラバイヨが打った3塁線のサード強襲のヒットも、NPBの日本人打者の打球はもっとキャノン砲のように強烈だったのに対して、カラバイヨの打球にはそうした勢いは感じなかった。NPBの内野手も独立リーグのそれとは違い、そうした殺傷能力すら感じる打球を処理できる技量があった。

独立リーグの選手がNPBの壁を破るに克服するのは、そうした部分のように感じる。

ただ筆者も、独立リーグというのが価値がないのか?と考えているのかというとそんなことはなく、これから都市対抗野球で日本企業が会社内で野球部を所有出来なくなることが予想される未来において、日本の独立リーグというのは、そうした将来について必要な形であると実感した。

今回はひょんな形で実現した群馬県伊勢崎市での独立リーグ観戦。しかし、それは筆者の野球観を深めるためにも非常に有意義な試合だったことは間違いない。

「ありがとう。独立リーグ」

{505AB6B6-A153-4679-910D-E709D8FB94A0}

{E16F6101-43A8-41C4-BADA-93FDEAB040A8}

{F62C8585-4DD0-4E00-B9F3-17865F9E5A4C}

独立リーグではグラウンド整備も選手自身が行う。