①では20世紀を象徴するような伝説的なバスケット漫画から「成長の面白さ」を述べた訳だが、②では21世紀の漫画界においての新進気鋭のサッカー漫画から「成長の面白さ」を伝えていきたい。
今回取り上げるのは①でも述べた「アオアシ」という漫画である。
主人公・青井葦人は愛媛県の母子家庭の子で、県内の中学では注目されたサッカー選手だったが試合中の暴力行為から、決まっていたサッカー推薦も取り消され、その後ある縁から東京のプロサッカーチームのユース(中学生や高校生選手のチーム)のセレクション(選抜試験)を受けることになる。
そしてそこのユースチームに所属しながら、葦人は1人のサッカー小僧から、成熟した大人のプロフェッショナルとしてのサッカー選手として成長するために、サッカーの戦術や技術・身体的な成長だけでなく、人間としての内面の成長も、あがきながらも自分の潜在能力を飛躍的に伸ばしていくというストーリーである。
その葦人がサッカー選手になるために悩みながらも成長する姿と①で花道がバスケットを通じて成長する姿が、時代を超えて被って見えて、そうした姿が今回のタイトルにある「成長は面白いっ!」というタイトルに繋がるのである。
花道にしても葦人にしても、あがいて悩んでいる当人にしたら、苦しくて仕方ないだろうが、読んでいる読者とすれば花道(葦人)が葛藤や挫折を乗り越えて成長する姿というのはたまらなく嬉しい気持ちになるのである。
だから当時のSLAM DUNKの読者も、今のアオアシの読者も根っこの部分で楽しみにしている部分というのは「(彼らの)成長は面白いっ!」というところに共通している。
筆者には子供はいないが、子供も育てている親の楽しみというのが「子供の成長」というのがこういうことなんだと、部分的ではあるが感じた次第である。
