今回のテーマでは、サッカーのフォーメーションを理想化させたスペイン・バルセロナFCの「ティキ・タカ」や日本のハンス・オフト監督の「トライアングル」など、高度なサッカー理論をチームに浸透させるために必要な形として「正三角形」という概念が必要で、高い次元でのサッカーができるチームの「正三角形は美しい」という話をした。

そして、話はうって変わって日本の地域リーグの話である。

筆者は今年(2017年8月19日執筆)から地域リーグを熱心に観戦している訳なのであるが、最初の印象として、J1から数えて5部6部の選手での選手個人のスペックだけで言ったら相当高いという印象がある。

ゴリゴリとドリブルで展開を打開する能力や足下でボールを受ける能力など、これでアマチュアリーグの選手かよっ!と思うようなプレーヤーも多数いて、選手名鑑を見ると、5部の前所属チームがJ2、6部の前所属チームがJ3というのもザラにある。

では、なぜそんな高い水準のサッカーの能力を持つプレーヤーが下部リーグでのプレーに甘んじているのか?

その理由というのが、バルセロナやハンス・オフトの三角形が「美しい正三角形」なのに対して、下部リーグのサッカー選手の三角形が「いびつで鋭角な二等辺三角形」になっているからである。

地域リーグの試合を見ていると多いのだが、両翼のSH(サイドハーフ・ウィングとも呼ぶ)の選手がガンガン将棋の香車のようにタテに突っ込んでいく。

しかしSHがどんどん周りも見ずに1人で突っ込んでいき、周囲の味方との距離が間延びしてしまい、結果的にSHと中盤の選手との三角形が「いびつで鋭角な二等辺三角形」になってしまう。そして結果的にそのSHが相手DFに囲まれて孤立しボールロストするシーンはたくさん見た。

逆に日本でも今年のJリーグ開幕前のプレシーズンマッチ(オープン戦)の浦和レッズvs韓国王者・FCソウルとの試合では、両チームの選手がバルセロナほどではないが、美しい正三角形を常に流動的に形成していて、見ていて楽しい試合だった。

だからJ1レベルのサッカー選手と下部リーグの選手を分ける基準というのは、身体能力やスタミナというモノよりもむしろ、選手に基本的な個人戦術が浸透しているのか?という話であり、そうした高い水準でのサッカーができるプレーヤーというのは「いびつで鋭角な二等辺三角形」を作らず、「美しい正三角形」を常に作れる選手であるということだ。

その完成形というのが、スペイン・バルセロナFCの「ティキ・タカ」なのだ。

ヨハン・クライフが20年かけて構築したモノが簡単にできるとも思わないが、日本のサッカー指導者もこのゴールに邁進してもらいたいモノである。