①では都市デザインのリノベーションや小売業の店長などの話から、動線というややもすると地味な要素のモノが人々の活気を取り戻す生命線になるという話をしたが、②ではそれをスポーツビジネスに応用したい。
スタジアムに対する動線というのは色々あるが、まず思い出したのは2017年4月22日に観戦したJ2横浜FCvsジェフ千葉の横浜・三ツ沢球技場での試合である。
この試合は以前ブログでも書いたが、4-0で地元の横浜FCが圧勝した。しかしジェフサポでもある筆者がフォーカスしたいのはそこではない。
以前にも別の記事で書いたが、三ツ沢球技場での観客の少なさである。
この日の横浜FCの試合というのは5367人だった。以前町田ゼルビアのサポがホームでジェフが相手なら7000人でもパンチ不足と言っていたが、多少小雨があったとはいえ、横浜FCvsジェフという組み合わせで春の土曜日にこの集客力はかなり黄信号に見えた。少なくとも横浜FCのユニのような青信号ではない。
それは何も横浜FCだけの話ではない。J3で同じ三ツ沢球技場をホームとするY.S.C.Cというクラブもそうである。
ここで村上アシシという札幌サポが作った2017年前半戦のJリーグの集客ランキングを見てみたい(試合は7月5日までの時点)。
J2の平均集客数は6789人に対して、横浜FCはその平均を下回る6070人(集客でリーグ12位)。ちなみに駅から徒歩5分の専用スタジアムがあるジェフは9358人でリーグ3位(しかし前年までキープしていた平均10000人を今年の前半戦では下回った)。
Y.S.C.C.はもっと悲惨でリーグ平均2572人を大きく下回る937人。リーグ最下位の集客である。
三ツ沢球技場というのは集客に有利なサッカー専用スタジアムである。なのにそこをホームとするクラブがなぜ軒並み集客で大苦戦するのか?
その答えが今回のタイトルである「動線」である。
三ツ沢球技場までのアクセスというのは横浜地下鉄の最寄り駅から徒歩15分くらいであったが、①で述べたような動線という効果を取り入れる要素が皆無である。
とにかく駅を出てから、高速の下や山道のようなところを歩いて山の上にようやくある。三ツ沢というところは陸上競技場も併設されていて、横浜市民にとってアマチュアの陸上の大会をする場所というイメージがあるようだ。
しかし、プロサッカーであるJリーグで集客するのに明らかに動線が無さすぎる。最寄り駅からスタジアムに通じる動線というモノを確保できていないから、地元市民も三ツ沢でサッカーを見に行こうとは思わない。だから横浜FC(Y.S.C.C.)というクラブは街と市民がバラバラなのである。横浜FCというのは日本初のソシオによる市民参加型のプロサッカークラブなのにである。
プロサッカークラブに専用スタジアムというのは必須と思われているが、実は専スタがあっても地元の市民を引き寄せるような街やスタジアムに対する動線が無いと、宝の持ち腐れになるのである。