①ではサッカー日韓W杯から見た日本社会に遺されたLegacy(遺産)ではなくDebt(負債)について述べた訳だが、②ではなでしことラグビーについて考えていきたい。

2011年にサッカーのなでしこ(女子日本代表)がW杯で強豪アメリカを撃破し、世界一に君臨した。

この時も①で述べた日韓W杯ではないが、日本中に女子サッカーブームが拡散された。

Jリーグもメディアでの扱いが削られていた時期にも関わらず、世界一というインパクトは強烈で多数の媒体で女子サッカーのニュースが流れた。

しかしその後、なでしこも女子サッカー界の重要な大会だった2016年のリオ五輪の出場権を逃し、人気も次第に低迷。W杯優勝の熱狂も次第に薄れてきた。

そして2017年4月8日に筆者は無料券を使い、習志野市でなでしこリーグのカップ戦を観戦したが、観客は435人しかいなかった。男子の4部であるJFLでも1000人以上集めたのに…。

ラグビーも同様だ。2015年にラグビー日本代表がW杯で歴史的な1大会3勝を挙げ、日本中が空前のラグビーブームに沸き、それまで知名度が全くなかったチームの中心であるイケメンの五郎丸歩は女性誌の抱かれたい男ランキングでぶっちぎりの1位になった。

しかし、ではあなたは今ラグビーの試合をチェックしてますか?五郎丸以外のラガーマンをどれだけ知っていますか?という話である。

日韓、なでしこ、ラグビーと3つのW杯を我々日本人は経験して一過性のスポーツイベントに結果を出すことが必ずしも、スポーツ文化の熟成には繋がらないということが分かった。

むしろスポーツをブームから文化に変化させるには、そのスポーツを市民の中にいかに「日常」に溶け込ませるか?が鍵になる。

語学学習でも1ヶ月の短期留学は楽しいものの帰国して自分に何の付加価値がないという話はよくあるし、外国語を習得するのに必要なのは華やかな留学経験よりも、普段の生活にいかに勉強という地味にキツいルーチンワークを組み込むかの方がよっぽど重要だ。

スポーツも同じでW杯開催や東京五輪招致でスポーツ文化が日本に定着するのではなく、普段J2のでも、しょうもない負け試合含めて観戦する日常があるかがサッカー観戦力を高めるのには必要だ。

日本は東京五輪という熱狂に踊らされてるが、基本的に熱狂というのは醒めるモノであり、スポーツを文化にするにはそうした政治家の一攫千金のような価値観から遠く離れた地味な観戦歴の方がよっぽど価値があるのだ。