①ではサッカーのアマチュアリーグでも学閥という枠組みが絡めば、メガバンクからのスポンサーも可能だという話をしたが、②では他の部分からもこの2つの関連性についてフォーカスしていきたい。
スポーツと学閥という関係で思い浮かぶのは人気プロ野球漫画「グラゼニ」だ。
主人公の中継ぎ投手・凡田夏之介は山梨県出身の高卒だったが(しかも最後の大会は県大会初戦敗退)、この漫画にでてくる登場人物は「プロ野球=学閥」という匂いをプンプンさせる要素が満載である。
凡田の元チームメイトで控え捕手の東光は六大学の看板選手で、球団は東光を任意引退させたあとにその学閥の人脈を活かしてフロントとして入閣させようとした(本人は現役にこだわり台湾プロ野球チームに移籍したが)。
他にも現役引退後も、高卒や地方の無名大学出身の選手と六大学出身の選手ではコーチ入閣のパイプの太さに大きな違いが出る、と腕一本でのし上がるイメージのプロ野球も、実はこうした学閥の力が大きく作用するのが分かる。
しかし、そんな学閥が逆に選手や球団双方に足枷になるパターンもある。
甲子園優勝投手のハンカチ王子こと斎藤佑樹も、早稲田実業→早稲田大学経由で日ハムに入団したが、プロ野球では甲子園決勝で最後のバッターとして打ち取ったマー君こと駒大苫小牧の田中将大にプロでの活躍では天と地ほどの差がついた。
かたや名門ヤンキースの開幕投手。かたや日本のプロ野球の一軍と二軍のエレベーター。溝は深まるばかりである。
しかし、日ハムという球団サイドから見ても斎藤を切るに切れない部分もある。もし斎藤に戦力外を通告したら、早稲田から優秀な選手のルートが狭まってしまうのもあるからだ。
あるプロ野球スカウトに言わせれば「選手獲得の競合相手として、日本最強のスカウトは巨人ではなく早稲田大学」と言わしめるほどのコネクションが早稲田。
しかし、その学歴という強固な密着力のある関係性がある学閥が逆に球団にとって「不良債権」と化したのも皮肉である。
世の中は学歴や学閥という要素が強いのも事実である。しかし名門大学卒業の選手がプロでは鳴かず飛ばずになる一方で、高卒選手の成り上がりも可能なのも事実だ。
学歴というのは世の中で闘うのに有利に作用する一方で、それが全てでもない。学校というスタートでビハインドを背負っても逆転のチャンスもあるのである。