この「ANGEL VOICE」という週刊少年チャンピオンという雑誌で2007年から2014年まで連載されていた千葉県を舞台にした高校サッカー漫画がかつて存在していた。
しかし、この漫画の存在を知っていたサッカーファンというのは非常にマニアックというか通好みな漫画ファンと言って間違いない。
一方で土屋征夫というのはJリーガーで現在J1ヴァンフォーレ甲府に在籍しているプロ20年目の大ベテランである。おそらく今シーズンのJ1の最年長選手と思われる。
しかし、この土屋というCBの存在は日本代表招集経験はないもののいわば「知る人ぞ知る」ようなJリーガーだ。
土屋の場合、J2横浜FCで五十路を迎えたキングカズこと三浦知良の存在に隠れて、メジャーな存在になりづらいのもあるが、土屋の場合、闘っているフィールドはJ1であり、もっと評価されて然るべきである。
もっとも土屋の場合はカズと違い、前述の通り代表歴がないのもメジャーになりづらい要因としてあるかもしれないが、筆者からするとむしろ代表歴がない1Jリーガーが、ここまで過酷な環境であるJのピッチで長年適応し続けられるのは、驚嘆を禁じ得ない。
その土屋が2017年5月10日のルヴァン杯の神戸戦で、身長177cmとCBとしては小柄な身体ながら、尋常ならざる身体能力を活かしたヘディングでゴールを決めた。
42歳9ヶ月10日でのゴールというのはJ1最年長ゴールとして、カズ・ゴン中山・ジーコを抜くという偉大な記録を作った。
そんな土屋征夫というアスリート。繰り返すが代表歴はない。しかしそんな選手でも不惑を過ぎて20年以上J1という最前線のピッチに立って闘えるという事実。最近こうしたアスリートが激減した気がする。
翻ってスポーツ漫画の世界である。別に土屋がANGEL VOICEを読んでいることはなかろうが、このサッカー漫画に土屋征夫の存在がどうしてもシンクロしてしまう。
その理由を②で説明する。

