そんなこんなでGWも終盤に入った西が丘サッカー場。単にJ3の試合が見たいだけで行っただけなのに、バルサのカンテラ出身である久保建英と遭遇。この日ほとんどが久保目当てで終結した2607人の視線が集中する中で、この試合はどういった展開になるのか?ここから②がスタートする。

主審の笛が鳴った直後の前半2分。ロングボールを放り込んだFC琉球が右45°の角度でいきなりCKのチャンス。

10番がファーに送ったボールを折り返して、FC琉球の選手が押し込んであっさり先制点。

このシーンに限った話ではないが、この日のFC東京U-23というチームはハッキリ言って「烏合の集」だった。先制されたシーンもゾーンでの守備だったようだが、マークの受け渡しが全くされておらず、選手は自分のポジションを縄張りを守るくらいにしか考えていない、と言われても仕方ない軽率なプレーだった。

いきなりの失点でFC東京の若武者は泡を食って混乱した。まだ前半18分なのにFC東京のDFが2枚目のイエローで退場。スコアでビハインドを背負った上に、数的不利にも陥った。

そんな中で久保建英である。久保がボールを持ったシーンになると会場がどよめいた。柔らかなボールタッチとスムーズな足の運び。この日のFC東京U-23のユニがまんまバルサのパクリであったのもあって、ドリブルでJ3のDFを3人抜いた時の久保建英は(我ながら陳腐な表現だと思うが)「和製メッシ」と呼べるようなプレーを見せた。

しかしFC琉球も久保建英の噛ませ犬ではない。よくJ2下位の監督は上位のチームに策を練って対抗するというが、J3のFC琉球監督である金鐘成も同様だった。

とにかく久保の前にトップスピードにさせるスペースを作らせない。仮にマークしているFC琉球の中盤の選手が抜かれても、DFの選手が久保に複数ついて自分たちが数的有利の状況を作る、といった決まり事を徹底していた。

もともと前半の早い時間帯に数的不利になっていたFC東京U-23はこの久保建英対策に手も足も出ない。

すると前半18分、30分とFC琉球に立て続けに失点。久保建英の凱旋になるはずの西が丘サッカー場には、FC琉球のゴールを祝福する沖縄のお祭りであるエイサーをアレンジしたチャントがこだまし、FC東京U-23というチームはピッチ上で空中分解しつつあった。

この日の松澤慶和主審がFC東京U-23に9枚(!)のイエローカードを提示し、2人の退場者を出し、チームとしてどうにもならない状況になった。

久保としてもJ3というリーグで相手DFが自分に執拗なマークが食いついてくるぐらい想像できたはず。その厳しいマークを外せなくて世界のサッカー界に飛躍なんぞできる訳がない。

別に筆者はJ2ジェフ千葉のサポなのでFC東京U-23が負けても悔しくはないが、この日のチームの無策さと烏合の集の状況にはガッカリした。

結局試合はFC琉球が3-0で勝利した。サッカーにセンスや才能は必要だ。しかし、それだけではサッカーで勝つことはできない。そして現代サッカーでは個々の能力で劣るプレーヤーでも、集団で闘うという意志を持った組織力があれば、GIANT KILLINGは可能なのだと痛感するような試合だった。

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