GWも終盤に差し掛かり、現実の仕事の存在が少しずつ見え始めて、日本中に鬱の空気がチラホラ見え始めた2017年5月6日に、そんなお天道様が空気を読まない初夏の快晴という天気を首都圏にもたらしたところ、筆者は東京都北区にある西が丘サッカー場でJ3のFC東京U-23vsFC琉球の試合を観戦した。

今回筆者がこのJ3リーグの試合を観戦しようと思ったのは、このカテゴリーを見れば、2017年はJ1から関東2部リーグ(6部リーグ)まで上から6つのカテゴリーを観戦したことになるからという、筆者本人以外にとってはどうでもいい理由からであった。

そんな初夏の日差しの西が丘。二カ月前に同じ会場で4部リーグであるJFLの開幕戦を見た時は人影もまばらで、盛り上がりという空気が希薄であったのに、今回の試合はFC東京の下部組織で、なおかつFCバルセロナのカンテラ(育成組織・メッシなど最高のサッカー選手を世に送り出している)出身の日本人・久保建英(くぼ・たけふさ)がFC東京に移籍し、この日のFC東京U-23のメンバーとして出場することになっていた。

たまたま来た西が丘で思わぬ拾い物!思えばNHKのスペイン語講座でバルセロナのカンテラが紹介されていた時、まだ小学生だった久保少年が今やJ3とはいえプロ選手になり、6月に韓国で開催されるU-20のサッカーW杯にも召集されているという話だから、他人の子供の成長は早いというが、自分が無駄におっさんになるスピードを考えると時の流れの早さを感じる。

この日のFC東京U-23のユニフォームがまたFCバルセロナのパクリのようなデザインなので、試合前の久保の存在がますますバルサ帰りの日本サッカー界の至宝というイメージに拍車をかけていた。

しかし、ここはリーガ・エスパニョーラ(スペインリーグ)ではなく、アジアの片隅のJ3。対戦相手のFC琉球にしても、自分たちは噛ませ犬でも引き立て役でもない。むしろ久保建英というプレーヤーを食って成り上がりを果たそうとする肉食系の猛獣集団である。

同じサッカーでもリーガやJ1のようなトップレベルのリーグには、同じ武闘派でも様々な環境が整った中で高いクオリティーを発揮すればいい「プロの格闘家」のような強さが求められる。

しかしサッカーはサッカーでも、J2から下のJ3も含めたアジアのマイナーリーグのプレーヤーに求められるのは、劣悪な環境と厳しい状況でも集中を切らさないタフな精神力を要する「兵士の白兵戦」のような強さである。

どちらの強さに優劣がある訳ではない。強さの「質」の違いである。

果たして久保建英はこの環境に適応できるのか?様々な思惑が交錯する中で主審の笛が鳴った。〈②に続く〉

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