そんなこんなで筆者は全く土地勘のない大井埠頭のちっちゃなサッカー場で地域リーグの試合観戦をした。
両チームのフォーメーションとしては、エスペランサが3-5-2で早稲田が4-4-2のように見えた。
とはいえ正直に言って、エスペランサの方はあまり戦術を組み立てるという意識が希薄なように見えた。
このチームのルーツが世界最高のドリブラーであるマラドーナを生んだアルゼンチンという国であるからなのかはわからないが、エスペランサというチームにパスを繋ぐという選択肢はほとんどなく、持ったらドリブル持ったらドリブルと、ピッチ上の選手たちはゴリゴリとドリブルで仕掛けるサッカーに終始していた。
一方の早稲田の方は、いかにも日本人のサッカーらしく組織力を高めてショートパスの連動性を上げていくプレーを展開。
こうした好対照な両チームのサッカーの中で試合は動いた。
先制点はエスペランサ。エスペランサの中盤がドリブルで持っていきシュートが壁に当たったところを9番の井上海希が押し込んで先制する。
しかし、一方の早稲田もその後すぐにサイドからの突破から同点ゴールが生まれる。
この後、両チーム膠着した展開で目立っていたのはエスペランサのFWである26番今部直哉と50番の古川頌大の2人であった。
2人共ボールを持った状態でキープしたり、プルアウェイで相手DFを引き離す動作に優れ、エスペランサの「南米は個人技」というサッカーの象徴のような存在であった。
そして前半終了間際にはその古川が追加点を決めて、いい時間に早稲田を引き離した。
後半に入ると、エスペランサ・早稲田共に仕掛けてくる。
エスペランサがサイドからドリブルで持ちこんでゴール前にボールを供給し、前線のFWの個人技で突破しようとするのに対し、早稲田の方は中盤からボールを丁寧に繋いでエスペランサゴールを脅かす。
後半はエスペランサペースで進み、このままタイムアップか?と思われた後半アディショナルタイムにドラマが起こった。
中盤でボールを奪った早稲田の左SBがガラ空きのサイドを駆け上がる。
そこでセンタリングを供給したところに9番寺田がダイレクトで合わせて同点ゴール。
エスペランサとしては、目の前の勝ち点3が無情にも自らの手元からすり抜けたような引き分けだった。
③以降では第三試合の東京ユナイテッドvs東京23FCの試合を見ていきたい。

