こうして関東1部の開幕戦を観戦していたが、前半を見ていて気になった選手がいた。東京23FCの32番・唯井竣平である。
23FCの4-5-1の右サイドハーフとしてスタメン出場し、前半の右サイドの攻防戦で、相手のサイドをズタズタに切り裂き、中央へのクロスを再三供給した。
惜しむらくは唯井のクロスの精度が低かったこと。唯井のクロスがもっと高い精度になったら、唯井自身「Jリーガー」になれるだろう。
それでも、この日の唯井は日本代表のFWで、アウエーのUAE戦で右サイドで相手のサイドを制圧し、ゴールで勝利に貢献した久保裕也のプレーを彷彿とさせるモノがあった。
しかし、ここは日本代表のサムライブルーではなく、関東1部リーグ。そこまでのスペックを選手に求めるのは酷である。
前半のスコアレスから、個々の能力の高さで組織的な攻撃で日立ゴールを脅かす23FC。しかし、実業団の意地か?日立のDFラインも身体を張った守りでゴール前を固める。
一方で、日立の方も、23FCの押し上げで守備が薄くなった隙を突いて、10番の床井から7番の藤波への鋭いハーフカウンターでゴールネットを揺らそうと反撃を試みる。
攻撃でのフィニッシュの精度を欠いたり、日立のカウンターを食うシーンの度に、23FCの監督である「車椅子の闘将」羽中田昌はサイドライン近くまで駆け寄り、選手にゲキを飛ばす。
今は羽中田監督はバルサスタイルを封印したというが、チーム全体の総合力で闘うという姿勢は変わらない。
組織的な攻撃の23FCに対して、身体を張った守備からの鋭利な刃物のようなカウンターを仕掛ける日立。
結局、両者がっぷり四つのまま後半もスコアレスで試合終了。サッカー観戦初心者から見ると退屈に思われるかもしれない。
しかし、今回の開幕戦は両者の持ち味が出た上でのスコアレスドローだったので、筆者としては(入場無料だったが)休日を使って観戦した甲斐は十分にあった試合だった。
両チームが勝ち点1を分け合った開幕戦。昨年(2016年)の関東1部リーグを制覇したのは、東京23FCだった。今年も優勝して連覇できるのか?他のライバルが待ったをかけるのか?関東1部リーグはまだ始まったばかりだ。


