今回のテーマはスポーツのネタというよりも、以前書いていた社会問題系のテーマである。しかし、スポーツにリンクする要素もあるので、とりあえずご静聴願いたい。
いきなり重いテーマから入るが、日本の昨年(2016年)の自殺者数は21764人という数字であった。つい数年前までは3万人以上いた自殺者数に比べれば、劇的な減少傾向にある(警察などの事後処理いかんで変わる数字でもあるが)。
しかし、世界レベルで考えれば、まだ自殺者数自体はかなり上位にあるのも事実。昭和という名の既存の価値観が崩壊しつつある現在の日本の中で、自殺しない様に生きるのは老若男女問わず、難しい時代になった。
そして、その自殺を選ぶ理由の大半は経済案件である。これは自分の会社が倒産し、生活していく術を失った無職の状態で、世間に晒されるのが耐えきれず自ら死を選ぶ日本人が多いからだと推測される(その大半は男性)。
ではそもそもなぜこうした日本人男性が倒産や失業をきっかけに自らの命を絶つのか?
それは「日本には失敗した中高年に敗者復活戦のチャンスがない」からである。
よく日本人で「欧米は失敗が許される社会」というが、「失敗=悪いこと」という考えであり、その発想自体が絶対的に古い。
故・スティーブ・ジョブズは自宅で自作のパソコン「アップル」を開発し、一代で大企業の社長に君臨したが、自分の取締役会でジョブズ自身が解雇され(要は自分が作った会社にクビになった)、一般人に戻ってしまった。
しかし、ジョブズが去った後のアップルが開発したパソコンは、その後世界のパソコン市場に支持されず低迷の一途を辿った。
そしてアップルの取締役会はジョブズを再び会社に呼び戻し、彼が再び開発したパソコンは世界のユーザーに圧倒的に支持されるようになった。
こうした経緯が海外ではあるが、「仕事の失敗→クビ→自殺」という価値観から脱却しないと日本の自殺者は減らないであろう。
「えっ?今回の話に1つもスポーツの要素がない?」
もちろん筆者もそれは自覚している。②でこうした「致命的な失敗=自殺や破綻」という価値観から脱けだす術を海外のスポーツ界を例に挙げて捉えていきたい。