①では人気歴史アクション漫画・ゴールデンカムイの連載デビュー作「スピナマラダ」の基本的な紹介をしたが、②では作品に対する具体的の説明などもしていきたい。


このアイスホッケー漫画は最近のマイナースポーツ漫画同様に、とっかかりのないスポーツでルールの分からない読者でも理解できるような競技内容の補足説明もある。

しかし、筆者がこの漫画を(ゴールデンカムイのこと云々抜きにしても)猛プッシュしたい理由は2つある。

①…強烈かつ超魅力的なキャラクター群

前回も述べたように、この漫画の主人公はフィギュア選手だった中学生の白川朗だったが、それ以外にも魅力的なキャラクターが複数存在する。

最も強烈な存在感を放つキャラは主人公がのちに進学する勇払(ゆうふつ)高校のアイスホッケー部監督の二瓶利光。この男のキャラがとにかく凄い。理解不可能な思考回路と厳しい言動で部員を叱咤激励しつつも、卒業した部員などにも対する惜しみない愛情を尽くすシーンもある。

ゴールデンカムイではギャグ要素は比較的少なめだが、このスピナマラダでは二瓶利光を中心に秀逸なギャグ要素もたくさんある。

そして苫小牧に名を馳せるアイスホッケー兄弟の源間浩一・慶一の2人だ。

しっかり者の兄の浩一はGKで天才的なセービングセンスを持ち、やんちゃな弟の手綱を引く。一方の弟の慶一は粗暴なところもあるが、FWに必要な闘争心やフィジカル・スタミナを兼ね備えた試合の時は頼りになる男である。

他にも幸露キャプテンや甲斐先輩など魅力的なキャラもいるが、あとは作中で。



②…現代のスポーツに必要なモノを教えてくれる。

この漫画の作中で主人公の勇払は札幌の不良の高校との練習試合をするシーンがある。

試合内容と勇払の選手のプレーは作品を読めば分かるのだが、この作品では(アイスホッケーに限らず)結果至上主義に汚染された現代スポーツの中で、スポーツにおける試合結果よりも大切なモノは何か?を伝えるシーンもある。

それは甘っちょろく口当たりのいい自己啓発書のようなヌルいものとは全く違い、前述の勇払の監督・二瓶利光が自校の選手だけでなく対戦相手の不良に対してまで、慈悲深い愛情を持ってゲキを飛ばす魂の叫びのような言葉であった。

この作品は連載中は人気がなかったものの、あまりの作品のアツさでネット上では「アイスホッケー版スラムダンク」と絶賛された(これは誇張ではない)。

この漫画のおかげで筆者は今まで全く関心のなかったアイスホッケーという世界と出会い、(このブログでも紹介したが)アイスホッケー・アジアリーグのレポートもするようになった。

今回、自分のブログの源流となった漫画作品の1つを紹介したが、筆者のブログに共感できる読者の中で1人でもこの漫画に興味を持ってもらえれば幸いである。