①では筆者のWBC2017と、その準決勝での日本の4番筒香の右飛について述べた訳だが、結局今回のWBCでも最大の難関である準決勝の壁は崩せなかった。では、今回の結果に対してあのシーンで筒香自身は何を求めていくべきだったのか?

これを考えると、そもそも日本の野球とは何なのか?という話である。筒香は巨大な体躯を持ちながら、凡百のプルヒッターとは一線を画すような、芸術的なバットコントロールが長所にある。

今となっては全てが結果論だが、筒香はそのバットコントロールでどこを目指すべきだったのかという話だ。対戦相手のアメリカ人ファンに悲鳴を聞かせるようなスタンドインなのか?それとも今大会は不発だったものの5番の中田翔に繋ぐような、筒香自身が所属するベイスターズの歴史にあるマシンガン打線のような繋ぐ意識なのか?

元ロッテで、WBC優勝のある現在はニュージーランドでの野球選手育成に当たる清水直行は「日本代表の打線で怖いのはヒットが途切れない連続攻撃」というが、特定の選手に頼らない日替わりのヒーローが侍ジャパンの最大の強みだ、語っていた。個人的には侍ジャパンをそこの強みを磨いた打線を伝統にしていってもらいたい。

一方で、今回の侍ジャパンの敗因は小久保監督や筒香個人(決勝点に繋がるエラーをした松田や守備の名手・菊池含めて)ではなく、チーム全体の責任であり、自分たち日本の野球ファンやマスコミも被害者意識で戦犯を探すのではなく、日本の野球に何が足りなかったのか?1人1人当事者意識を持って考えるべきである。

4年後の筒香もおそらくFAでメジャーに移籍しているだろうが、筒香には自分にとっての野球観の軸になる部分をしっかり構築してもらいたい。

自分としては筒香に限らず、侍ジャパンの打線にはイッパツよりも繋ぐ意識を持った野球を持ってもらいたいが、それは強制できない。あくまで価値観というのは選手個人で見いだすモノだから。

最後に侍ジャパンに携わる皆さんにありがとうと言いたい。今回のWBCほど筆者が頭の中の知識や思考力を駆使しながら観戦した野球の大会は今まで例がなかった。おかげで自分の中にある野球観は急激に向上した。感謝の念しかない。

休む間も無くプロ野球のシーズンも開幕する。これから1つに団結していた日本の野球ファンは12球団バラバラになって、今度は日本の覇権を争う。

さようなら、WBC。ありがとう、侍ジャパン。こんにちは、ペナントレース。