②では世界一奪還を目指す侍ジャパンが東京ラウンドで格下中国にいきなり訪れたピンチに対し、どう処理したかを述べたが、実際に現地観戦した筆者には、この初回の勝負がこの試合最大のヤマ場だったと思える。

というのも日本で行われている様々なカテゴリーでの野球で、下馬評の高い本命が格下に足元をすくわれる、サッカーの世界で言われるいわゆるジャイアントキリングという試合は、どんな野球ファンでもいくらでも目の当たりにしてきたはずだ。

先制点のピンチ。打席にはチームの4番。調整試合やオープン戦とは違う100%ガチの本番。「相手は格下だからいつでも点が取れる」と言った勝利の女神が最も忌み嫌う慢心という名の勝負事に対する不誠実な態度。真剣勝負だからこそ怖い、試合に対する勝負の分岐点。しかも日本海の向こうのソウルでは優勝候補・韓国が伏兵イスラエルにまさかの苦杯を喫した、という情報も入っている。そんな様々な思惑の中で、この先発・武田翔太vs4番・ナ・チュワンの勝負が流れを決めるポイントとなった。

このブログを読んでくれている読者は当然WBCの結果をチェックしているだろうから、ある意味ここから先の結果を書くのは野暮かもしれない。しかし、そうではない読者もいるだろうから追記しておく。

①で述べた通り日本代表の先発武田がナを見逃し三振で仕留めた。これで試合の流れを自分たちに引き寄せた侍ジャパンの精鋭たちはここから、ペースをグッと呼び込んだ。

その裏、日本代表は戦力で劣る中国代表投手陣に容赦なく牙を剥いた。

初回先頭の田中広輔がヒットで出塁。盗塁などで1死3塁として、3番のトリプルスリー山田哲人が犠牲フライで先制に成功。ここからの侍ジャパンはある意味「馬なり」だった。

序盤にこの東京ドームを勝手したたる庭としている、この日のスタメンマスクのイケメン小林誠司が追加点のツーランを放ち、序盤の3イニングで5-1とした侍ジャパンは、試合中盤には控え選手を投入し余裕の選手起用。

こうした中であとは侍ジャパンのコールド勝ちが期待されたが、中国代表もそれを拒否し、試合は結局7-1で日本代表が勝利し、翌週の二次ラウンドへ全勝で駒を進めた。

こうして今回は侍ジャパンの試合観戦をした訳だが、④ではこの試合についての筆者なりの観点を思い返していきたい。

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