さてさて①では筆者が感じたWBC中国代表についてのイメージと、それについてじゃあその中国がどのくらいの実力なのかということを、自分の眼で確かめようと思い、仕事終わりの週末に会社近くの東京ドームへと足を運んだ。
そんなプロ野球シーズン前の金曜日。本来なら野球ファンが足を運ぶ訳のない時期の東京ドームには12球団&侍ジャパンのユニを着た野球狂が東京の聖地に集い、試合前のコンコースはある種アナーキーな環境へと変貌していた。
そして、そうした中で球場では試合前のセレモニーが執り行なわれていた。
中国における野球は日本におけるクリケットのようなマイナーな競技。そんなとっかかりを持ちようがないスポーツでも、球場の一角には五星紅旗を持った中国人応援団も見えた。
そんな中でプレイボール。日本代表の先発はソフトバンクの武田翔太。昨年の侍ジャパン強化試合ではメキシコとの第1戦に先発した落差のあるカーブを投げるピッチャーだ。
そのプレイボールのサイレンが鳴り止まない中での初球を中国代表の先頭打者・チュ・フジャが武田のカーブをいきなり強振し、打球は綺麗にライト前。格下の相手に対し、まさかの展開にドームの観客はどよめいた。
そして、中国代表は2番打者にエンドランを仕掛けて、内野ゴロで一塁アウト。そして3番が外野フライでタッチアップ。あっと言う間に2死3塁と先制点のピンチになった。
迎えるバッターは4番指名打者のナ・チュワン。前評判では戦力に劣る相手に対してのピンチに、球場には嫌な空気が流れた。
しかし、ここは武田が気迫のこもった直球で見逃し三振。初回のピンチを抑えた。
今試合を振り返ると、この試合の1番のヤマが、この打席の勝負だったと思う。〈③に続く〉
