JFL開幕戦の西が丘サッカー場。ホームの武蔵野シティは前半相手にチャンスらしいチャンスを作らせなかったが、前半終了間際のCKからワンチャンスをモノにされて1点ビハインドのままハーフタイムに突入した。
そうした中で、後半のキックオフの笛が鳴った。そして後半開始早々いきなり試合が動いた。
八戸の選手が劣勢だった序盤と違い、先制点が取れて自信がついたせいなのか武蔵野のDF陣に強烈なプレスを掛けにいった。
そして八戸の8番高見圭太が、プレッシャーを避けるため現実逃避の横パスをする武蔵野DFに食らいつくと、DFのパスが中途半端に前に飛び出したGKとタイミングが合わず、味方に当たった球はループシュートのような形でゴールに吸い込まれていった。
公式記録ではこのゴールはオウンゴールだったが、このゴールは決してラッキーパンチではなく、高見の積極的な姿勢が生み出した意図のあるゴールだった。
前半の早い時間で追加点が奪えてかなりラクになった八戸。一方で、武蔵野としてはホームで迎えた開幕戦でいきなり窮地に立たされた。
しかし、観戦する側からすれば、試合が動きビハインドを背負った武蔵野が前がかりに出ざるを得なくなった分、停滞していた試合展開が活性化し出して楽しくなってきたのも確かだ。
元々前半は自分たちのゲームプラン通りに進めていた武蔵野。ボランチが八戸の攻撃を寸断し、そこから縦のフィードを再三に渡り供給。
そこから武蔵野のFW陣が八戸のDFの裏を取る動きで再三ゴールマウスを脅かす。
特に後半に入り、30番藤井貴之のヘディングでの決定機が枠を外したり、その藤井と代わった23番金子剛に縦パスが通って1対1の決定的なシーンもあったがキーパー正面だったり、ツキにも見放された。
しかし、それでも後半20分にペナルティーエリアで武蔵野のFWが倒されPKを獲得。
これを18番石原幸治がきっちり決めて1点差に。
チーム全体の総合力で攻撃する武蔵野に対して、個々の能力では武蔵野に劣るものの身体を張った守備からワンチャンスに全てを賭ける八戸。
その後、武蔵野も②で紹介した本田圭佑をもピッチに投入して、脚の止まり掛けた武蔵野の攻撃陣の活性化を図った。
しかし、この後ゴールネットを揺らすことはなく主審はタイムアップの笛。
1009人の観客が集結した西が丘サッカー場で勝ち点3をゲットしたのはアウェーのヴァンラーレ八戸だった。
ただ印象的だったのが、数少ない武蔵野のサポーターが不甲斐ない結果に悔しがる選手たちがゴール裏まで挨拶にくると拍手で選手の健闘を讃えていたシーン。ジェフを含め結果至上主義のJリーグだったらあり得ない、殺伐さとは無縁の温もりを感じた一コマだった。
こうして春の訪れを感じる暖かな陽気での昼下がりのサッカー観戦。
4部リーグであるJFLだからといって決してつまらない訳ではない。アマチュア最高峰のサッカーリーグをたった908円(手数料込み)で楽しめる西が丘。次に西が丘でJFLは秋だからだいぶ先だが、濃密な時間を過ごせた日曜日だった。


