①では地方の経済規模の小さいプロバスケット球団(クラブ)の経営が死ぬほど厳しいという話をしたが、②でも色々事例を挙げて言及していきたい。

先日もアウエー観戦に訪れたし、その時発表したブログ記事と重複する内容だが、茨城県にはJ2中位クラスの小規模サッカークラブとして水戸ホーリーホックと言うクラブがある。

茨城県でサッカーと言えば、サッカーの神様・ジーコも在籍していた、あの鹿島アントラーズというJ1優勝やクラブW杯準優勝の経験もある絶対的のサッカークラブが存在する。

ただでさえ商圏も人口も限られている茨城県で、大半の県内サッカーファンは鹿島に流れるから、水戸というクラブには人もお金も慢性的に滞るのが日常化している。

そうした水戸という赤貧クラブを支えているのが、かつて家電量販店業界で北関東が発祥である3つの企業を指す異名でその名を轟かせた北関東家電三羽烏(カラス)「Y・K・K」の一角、水戸市が拠点のケーズデンキがメインスポンサーになっているから持ち応えているのだ(余談だが、他の2つはコジマとヤマダ)。

先日水戸サポと話す機会があったが、水戸がJ3に落ちそうになったらケーズがスポンサーから撤退するという、クラブ消滅の危機があった。

結局そのシーズンはJ2残留を決めてなんとかなったが、地方の小規模クラブとしては大口スポンサーが喉から手が出るほど欲しいモノなのだ。

しかし、そんなモノがない水戸からすればとにかく動いて収益を上げるしかない。

昨年(2016年)水戸に在籍していた「ベトナムのメッシ」ことグェン・コン・フォンがこのクラブに入団したのも、戦力というよりも東南アジアの財閥マネーの方が目当てだとも言われる。

このグェンが入団したことにより、水戸の背中のスポンサーにベトナム航空が入った。そしてそのスポンサー料で水戸の収益は大幅に上がった。

これは1990年代にカズこと三浦知良がイタリアのプロヴィンチャ(地方クラブ)に移籍したことが、イタリアの地方経済だけではお金が回らなくなった地元クラブが日系企業の多額のスポンサー料を期待した図式に似ている。

他にも、水戸はにホペイロ(用具係)がなく、選手(主として無名の大卒選手)が練習のあとに選手自身が自分で洗濯する環境だが「J2での出場機会」が水戸にはある、と誘って値段の安い選手を獲得したり、水戸のホームタウンの1つである大洗町に舞台にしたアニメ「ガールズ&パンツァー(ガルパン)とコラボしたユニフォームを限定発売して前年度を大幅に超えるユニの売り上げを稼いだり、地元の小学校や老人ホーム訪問もコツコツやった。そんなあの手この手の商魂のたくましさで水戸ホーリーホックというクラブはしぶとく過酷なJ2という環境でサヴァイヴしている。

そうした努力の甲斐もあってか、昔は8000万円くらいしかなかった予算が2億円まで増えたとのことだ。

そうした中で商圏の小さなスポーツチームはバスケット球団でもサッカークラブでも、あがいてあがいて金を稼ぐしかないのである。

スポーツビジネスという言葉が夢を叶えるような甘美な響きに錯覚している人(特に若者)は多いかもしれない(少子化で生徒減に喘ぐ大学が甘言で高校生を誘う電車広告をよく目にする)。しかし、実際の世界は果てしなく過酷な世界なのだ。