そうした浦和レッズvsFCソウルの試合が始まったが、FCソウルの方は前監督のチェ・ヨンス(中国のクラブに年俸4億円で引き抜かれた)は現役時代は韓国代表のFWだったが、監督としては守備をしっかり構築した上に強力なFWを数人、前線に配置する筆者の言う「王様FWと10人の小人たち」みたいなJ2下位チームによくある戦術だった。しかし、FCソウルの選手たちはJ2の選手に比べて、基本性能という面ではズバ抜けて高かった。
こうして前半は両チームシュートシーンが少なかったが、②で述べた武藤のファーストシュートの後、FCソウルは敵陣近くでボールをカットしてショートカウンター。ゴール前・中央でパスを繋いで右サイドに流れたボールを8番イ・サンホがミドルシュート!
これがゴールネットを揺らし、アウェーのFCソウルが先制に成功した。
浦和とすれば球離れもよくなり、ボールも人も流動的になった直後のミドルシュート。このイ・サンホの一撃はゴラッソなゴールとなった。
この時の攻撃の起点は10番のゲームメーカーである韓国代表のパク・チュヨンと11番のFW「筋肉番長」こと南米人のマウロ、そして左SH25番イ・ソギョン(もしくは右SHのイ・サンホ)のトライアングルでのパス回しが非常に流動的でこちらも球離れが早く、FCソウルから見れば「楽しいサッカー」が構築できていた。
FCソウルとしては外国人も韓国人もゴリゴリのフィジカルモンスターがピッチ上にゴロゴロ転がっていたが、足下のテクニックもアジアレベルではそれなりに高いレベルの達成度であった。
さっきトライアングルの話をしたが、漫画「アオアシ」でトライアングルでのパス回しはサッカーの基礎だ、という話があったが、FCソウルの方はその基本に忠実なトライアングルでの流動的なパス回しがしっかりできていた。
こうしたアウエーのFCソウルが1点リードのままハーフタイムに突入した。〈④に続く〉
