①では広島市や長野市といった規模の都市でのサッカー専用スタジアム建設に対する経緯を述べてきた訳であるが、②では筆者の故郷である千葉県のスポーツチームと地域の自治体との関係性について述べていきたい。
先日雑誌NUMBER 921(2017年2月9日号)でプロバスケBリーグ1部(B1)の千葉ジェッツについての記事があった。
旧bjリーグ上がりで集客や成績に苦労していたジェッツにいくつかの転機が訪れたが、それらの1つに起業家だった現球団社長の島田慎二社長がホームアリーナのある千葉県船橋市の松戸徹市長とホームタウン協定を締結した、ということがあった。
この市長が県内外の様々な会合でジェッツのことを紹介してくれて、結果的に市長がジェッツにとって一種の「広報担当」になったこともジェッツの躍進に繋がったという話であった。
もともと船橋市は市立船橋高校という日本全国に有名なスポーツ強豪校のお膝元の上に(船橋市自体が「スポーツ都市宣言」をするくらいの自治体だ)、市の人口も60万人と鳥取県と同じくらいの規模で、プロスポーツチームの潜在的な需要は高い自治体であった。
しかし、今までなぜか野球やサッカーのプロチームがなかった都市であった船橋市。しかし、千葉ジェッツと船橋市の良好な関係が構築されることにより、両者がWin-Winなパートナーシップになることに成功した。
他にも千葉県で良好なパートナーになっているチームと自治体は存在する。
我らがJ2ジェフ千葉と千葉市との関係だ。ジェフはジェッツと違い2部リーグの上に成績も下降線だったが(2017年2月11日執筆)、ジェフ千葉のホームスタジアム・フクダ電子アリーナのある千葉市長の熊谷俊人(くまがい・としひと)市長はジェフのために、2014年のブラジルW杯の時に千葉市と姉妹都市協定を結んでいるパラグアイの首都アスンシオンの市長と掛け合い、アスンシオンにある名門サッカークラブ・オリンピアから2016年にボランチのアランダ、2017年にはサイドハーフのホルヘ・サリーナスの招聘を仲介してくれた。
このブログのUP時点でのジェフの成績は未知数だが、このパラグアイ人コンビのサッカー選手としての基本性能は極めて高く、市長の仲介にジェフサポは感謝しなくてはならない。
昔はジェフも自治体とクラブのフロントとの関係性が「依存・対立」だったのが、今では「共存・信頼」という関係に長い時間をかけた交渉の上で変わってきた。
①でサンフレと広島市との関係がギクシャクしているという話をしたが、千葉県のスポーツチームも今は上手くいっているが、最初はダメだった。しかし、長い時間でその関係は良好になっていった。サンフレも自治体との関係性を最初から対立&依存に走らずに粘り強く良好なモノに変化させていってもらいたい。2部リーグサポの密かな願いでもある。