これまで今回はアイスホッケー・アジアリーグの東京集結戦について、色々レビューを書いてきた訳であるが、今回はプロスポーツの興行を見に来た観客としての意見を述べたい。

厳しい意見になるが、個人的に言えば「選手(試合)はプロ。裏方(運営)はアマ」と言った感じであった。

誤解のないように言いたいが、試合そのものは非常に面白かった。アイスホッケーという競技はサッカーのようなロースコアゲームであり、中々得点が決まらない中でのヒリヒリするような緊張感と40km/hのスピードでスケーティングする中での肉弾戦はやはり見応え満点の迫力であった。

しかし、そうした中でも試合の運営については不満しか出てこなかった。

まずアイスホッケーの場合、2シーズン前からそうなのだが、無料のパンフレットがない。

選手を知りたければ有料のガイドブック(1000円)を買えというのが、一見の客に対して不案内に見える。

アイスホッケーは野球やサッカーほどメジャーではないし、マイナーな競技ならプロバスケのBリーグやプロボクシングのように無料のパンフレットを配布している競技もある。その競技に疎い観客が多いスポーツには試合に出場する選手の紹介や試合の見所をしっかり伝えるのが筋だ。

そうした基本的なファンサービスを疎かにして、当たる確率の低い抽選会をやっても正直興醒めである。

それ以上に苦しかったのが、席の配置だ。

指定席はそれぞれ完売とアナウンスされていたのにもかかわらず、そうした指定席に空席が目立っていた。

ゴール裏で観戦していた小洒落たアラサー男子の2人組は「なんでこんなにガラガラなのに座れねーんだ」とボヤいていたし(もっともな話だ)、赤ん坊を連れたお母さんが子供を立ったまま抱っこしながら2時間近く観戦する姿は、ホスピタリティもへったくれもないアマチュアの運営と言われても仕方ないことであった。

何度も言うが、この試合に限らずアイスホッケーの試合というのは迫力があって面白い。しかし、その面白い試合を楽しむ環境というのが、客席という部分においては整っていないのだ。

会場に来るお客さんというのは貴重な週末の1日と1人2500円(自由席)を割いて、集まってくれているのだ。

しかも、今回は試合前にリンクのコンディション不良で試合が15分も遅れた。試合前の準備で運営スタッフは一体なにをやってたのか?という話だ。

そうした諸々に対して、お客さんにプロフェッショナルである以上、運営側は「僕たちはこんなに努力しているから許してください」という甘えた態度で臨んではいけないし「こんなに面白い試合をしているから、勝手に客が集まってお金を落とすのは当然」といった殿様商売はもっといけない。

サッカー日本代表監督の岡田武史氏は「Jリーグが誕生して最初の10年で選手がプロになった。次の10年で監督やコーチといった指導者がプロになった。その次の10年ではフロントや運営側の人間がプロにならないといけない」と言っていたが、それはサッカーのみならず、アイスホッケーや他のプロスポーツの関係者にも当てはまる言葉である。

自分への言い訳に甘えていけば、他のプロスポーツや娯楽などあっという間に淘汰されるであろう。それは肝に命じなければならない。

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空いていた客席。