①では今現在の日本のアイスホッケーにおける立ち位置について述べた訳だが、②以降では試合についても深く言及していきたい。
プロスポーツにスケート競技としてはフィギュアスケートに大きく水を開けられたアイスホッケーだが、それでもこの日の西東京市のダイドードリンコ・アイスアリーナには1813人の観客が文字通り「集結」した。
アイスホッケー・アジアチャンピオンの称号を手に入れるために、氷上で鎬(しのぎ)を削る選手たち。筆者が見たのは①でも述べたが、フリーブレイズvsクレインズの試合であった。
リンクのコンディション不良の中で行われたフェイスオフ(試合開始)。このフェイスオフという2人のプレーヤー同士がスティックでパックを奪い合う動作で、パックを自分のモノにするか否かで勝敗が大きく左右されるというが、最初に先手を打てたのが青いジャージの東北フリーブレイズだった。
フェイスオフでパックを奪い、先手必勝とばかりにクレインズゴールに襲い掛かるフリーブレイズの5人の(サッカーで言う)フィールドプレーヤーたち。矢継ぎ早にシュートをクレインズゴールに雨あられと打っていく。
しかし、第1ピリオド(第3まである)序盤のフリーブレイズの攻撃は積極的ではあったが、丁寧さに欠けてシュートが枠に行かないシーンが多かった。
逆にそうしたフリーブレイズの強引なプレッシャーの間隙をぬって、白いジャージのクレインズがカウンターを仕掛ける。
そして、そのカウンター攻撃が身を結ぶ。
FW11番西脇雅仁からコーチ兼任選手のDF3番伊藤賢吾がゴール裏からの混戦からパックを繋いで、FW92番の池田一騎の至近距離からのシュートで先制ゴールを決めた。
フリーブレイズにとっては一瞬の惨劇。そして電光石火の早業だった。逆側のゴール裏でプレーを見ていたクレインズ応援団はお祭り騒ぎだ。
追加点もカウンターだった。フリーブレイズのDFとGKとの安易なバックパスをカットされ数的不利を作られて、弾き返したモノの4番坂田駿の(サッカーで言うゴラッソとも言うべき)ビューティフルなスラップショットが炸裂し、フリーブレイズのゴールネットを揺らし、2-0で第1ピリオドを終了した。〈③に続く〉
