①では読者に悪いが手前味噌な事例から「この世の中は縁で動いている」ということを説明したが、②ではそれがスポーツでも同じだ、ということについて述べたい。
このブログを読んでくれる読者はご存知だろうが、筆者はボクシングを20年以上見ている。
ボクシングという競技は不思議なスポーツで、マッチメイク次第で同じボクサー同士の組み合わせでも伝説の名勝負にもなることもあれば、塩試合(凡戦)になることもある。
2006年に金がメチャクチャ無くて貧乏していた頃に、当時帝拳ジムが立ち見1500円で見られる試合があった。
その中にただのノンタイトル戦で後の世界王者になる帝拳拳士の下田昭文が、協栄ジムの瀬藤幹人に初黒星を喫した試合があって、筆者はたまたまそれを生観戦していた。
後にコアのボクシングファンに「あなた(独眼鉄)が死ぬ程羨ましい」と言われたが、筆者からすれば金が無くて暇だったから行けたに過ぎない。
一方で、2014年9月にあったWBCフライ級タイトルマッチで八重樫東(やえがし・あきら)の王座に下の階級で絶対的王者だったローマン・ゴンサレスが挑戦した試合は、伝説の名勝負と語り継がれる激闘だったが、筆者はその時仕事でテレビ観戦だった上に、椎間板ヘルニアも患いWで生観戦が出来なかった。
正直、この2試合を経験して「(①で述べた)漫画家のサイン会も、ボクシングの生観戦もはっきり言って『縁』だ」と悟った。
「そして、どれだけ面白い試合が見たくてもダメな時はダメだし、凄い試合が見られる時は見られるのだ」と。
もっと広く愛されている野球でこんな話もある。今勤めている会社の先輩が、ある日仕事の予定が入っていたのが、先方の都合でキャンセルになりぽっかり時間が空いてしまった。
そこで、会社の近くにある東京ドームで、当時まだ人気のなかった日ハム戦をグダグダまったり見ていた。
もともと客が少なかった上に試合も終わり、客席にほとんど人がいなくなったドームで、その先輩は衝撃的な言葉を聞いた。
当時現役だった元メジャーの新庄剛志が、そのほとんど客のいない試合終了後のドームで「今シーズンで野球選手を引退しますっ!」とのたまったのだ。
「引退するのはいいけど、そんなスポーツ新聞がほっておかない爆弾発言を、こんな客席もまばらな時にする馬鹿がいるか?」と先輩は、期せずして自分が歴史の生き証人になった縁について話してくれた。
こうして今回は縁について話をしたが、今回書けなかった野球のトレードなどの話もそうだが、物事の仕組みは本当に一期一会なモノである。