①では弱小校の野球部監督が一からチームを作って強くする努力のプロセスが、実はサッカー地域リーグでのサポが自分たちのアマチュア社会人サッカーチームの応援スタイルを構築するプロセスと共通するという話をしたが、②ではその2つに共通点があるという根拠を述べたい。

とあるサッカー好きが地元のアマチュアサッカーチームを応援したいと考えて、地域リーグや都道府県リーグでお客さんがほとんどいない頃からたった一人で独立独歩で応援スタイルを確立しなければならない。

最初から何でも分かって知っていて、何でもできるようなサポなんているはずもない(サッカーの応援に限った話ではないが)。

そうした地域リーグの応援スタイルというのは最初は欧州リーグの応援スタイルやJリーグのサポのチャント(応援歌)のモノマネから入ることが多い。

しかし、地方都市のアマチュアクラブだと、自分の地元の伝統芸能を取り入れたチャントや踊りの応援スタイルに気恥ずかしく思い、欧州の横文字ソングや浦和やマリノスのパクリをしてしまうサポーター集団も存在する。

しかし、実際には大都市圏から来た相手チームのサポからすれば、そうした地方の伝統芸能や「◯△県民の歌」をチャントに入れた方が、意外と都会の人間はそうした地方都市の文化に、自分の街にはない文化が含まれて敬意や羨ましさを感じて、そうした地方の伝統芸能チャントを「格好いい」と思ってしまう。

そうした地方の下部のアマチュアクラブのサポがそれまで格好悪いと思っていた、自分の地元の踊りなどの文化の入った応援スタイルに地元への肯定感も芽生え、そうした中でサポとしてもチャント作りに色々なアイデアや価値観をブレンドされ、やがてそうした一から始めた地域リーグのチームの応援スタイルが誰にも真似できない唯一無二なセンスのある応援文化として昇華していく。

こうした地域リーグのサポの応援スタイルの構築というのが、少ない小遣いで絵の具をコツコツ揃えて、真っ白いキャンバスに一から自分オリジナルの絵を描き出す作業という意味では①の弱小校の野球部監督が部員を9人集めて一から強いチームを作るプロセスに凄く似ている。

何もない空間に完成されたモノを一から構築することは、物凄く骨の折れる苦しい作業である。

しかし、ある人は「何かを構築しようとして取り組んでいる1番苦しい時期が、実は1番楽しい時期なんだ」と言っていたが、その苦しみと楽しみがリンクする努力というのは、実は弱小校の野球部監督もサッカー・地域リーグの社会人アマチュアクラブの応援スタイルの構築も実は共通したモノだったのだ。