①では今のJリーグのスタジアムのゴール裏が結果に執着し過ぎて、結果的に女性を中心にしたライト層の呼び込みに悪影響を与えているのでは?という話をしたが、②ではこのテーマに関して、更に追求していきたい。
ライト層の呼び込みに成功したスポーツビジネスという意味で最近成功しているのは、やはりプロ野球であろう。
昨年(2016年)もプロ野球を見にいったが、東京ドームや神宮球場でも殺伐とした雰囲気というのはほとんどなかった。
筆者は生観戦した訳ではないが、ヤクルトのバレンティンがホームラン新記録が出た時は、ヤクルトはもちろん対戦相手の阪神ファンも記録到達の瞬間をエンジョイしていた、という話だ。昔のプロ野球や今のJリーグでは考えられなかった話だ。
もっともプロ野球も最初からピリピリした空気がなかった訳ではない。
昔の広島カープで旧市民球場で優勝を争う重要な試合をしていた時に、その試合を裁いた審判がカープに(他意はなかったが)不利なジャッジを続け、最終的にカープが負けた試合があった。
当時のカープファンは気性が荒く、ハラワタ煮えくりかえって審判に暴行しようと思った一部のファンがいた。
その時、審判団は立場がバレないように、服を脱いで下着姿でタクシーに乗り込んだ。
しかも、そのタクシーが任侠(ヤクザ)映画「仁義なき戦い」のモデルになった組事務所が経営するタクシー会社の車だった(!)。このタクシー会社以外、広島中の全てのタクシー会社に断られたからだ。
そのタクシー運転手も暴力団員だったのに、カープファンはそんなタクシーにも暴行をしようとしたというから、昭和の頃のプロ野球というのも、かなり殺伐とした雰囲気だったのが伺える。
しかし、そんな命知らずな野球ファンがスタジアムにいたのも、遠い過去の話。今や神宮でも山田哲人のホームランにヤクルトファンと阪神ファンがハイタッチするようにまで、今のプロ野球はエンジョイベースボールな雰囲気になった。
翻ってサッカーである。昭和のカープファンほどではないが、サッカーのゴール裏でもシーズン佳境になると、結果を出せなかったチームのコアサポなどが暴れたり、選手が乗ったバスを囲むような愚行が冬の風物詩のように出てくる。
しかし、サッカーでもライト層をスタジアムに呼び込むには、試合の結果だけにこだわるようなジリ貧な考えだけではなく、スタジアム周辺のイベントをもっと家族やカップルで楽しめる空気にすべきだ。
結果が出ない時にゴール裏のコアサポが暴れると、ライト層のスタジアム観戦の妨げやイメージ低下を避けるためにクラブのスポンサーが離れて、巡り巡って損をするのは当のコアサポである。
自分たちがやっている行いというのは、結局自分に返ってくるのである。コアサポももう大人なのだから、こういう子供が親に言われるようなことはいい加減卒業しよう。