①では筆者がボクシングという競技に興味を持ったきっかけとそうしたきっかけになった部分の劣化について述べた訳だが、②では他のスポーツについても言及していきたい。

①でサッカーについて少し触れたが、この競技については後述するとして、最近興味を持ったのが大相撲である。

筆者が子供の頃の大相撲というのは、日本人以外の人種がこの競技に打ち込むなんて想像も出来なかった。若い人にはわからないだろうが、昔の相撲というのは日本人だけという排他的かつ閉鎖的な特殊な社会であった。

しかし、今の相撲は白鵬・鶴竜のモンゴル人横綱を筆頭にブルガリア人の碧山やブラジル出身(日本に帰化)の魁聖、もう引退したがエストニア出身の元大関・把瑠都。中国人の蒼国来に、(今は自動車事故の問題もあるが)エジプト人の大砂嵐にジョージア(旧グルジア)の栃ノ心に臥牙丸とまさに外国人天国になった。

こうした「怪物の多国籍軍団」と呼ぶに相応しい今の大相撲に筆者が興味を持たない訳がない。最近は仕事で見る機会が減ったが、多国籍化という意味でのコンテンツではボクシングなんかよりよっぽど魅力的な娯楽になった(力士自体に塩試合がないのもあるが)。

最後に世界で最もワールドワイドな競技であるサッカーだ。

サッカーも1993年にJリーグが生まれてオリジナル10の時代は、バブルマネーで世界中からその時代の名選手が集結した。

鹿島のジーコや磐田のドゥンガといったブラジル代表もそうだし、名古屋のリネカーはイングランドでストイコビッチはセルビア、(少し時代は違うが)G大阪のエムボマはカメルーンだったし横浜FMには親会社の日産の工場があったせいかアルゼンチンの選手が多かった。

逆にこの頃、韓国の大学から直接Jリーグのサンフレッチェ広島に入団した盧潤廷は母国から「裏切り者」と罵られた。

しかし、Jリーグも時代が下ると各クラブが外国人補強で失敗したくないから、どこのクラブもブラジル・韓国・豪州に旧ユーゴスラビアと相場が決まってマンネリ化しつつある。

最近は東南アジアマネーでベトナムのカリスマであるレ・ゴン・ビンが札幌に入団したり、「ベトナムのメッシ」という謎の仇名のグエン・コン・フォンがJ2の赤貧クラブである水戸ホーリーホックに加入したりもするが、この辺はまだ野球で言う「育成選手」のイメージが残る。

そうした中で我らがジェフユナイテッド千葉であるが、多国籍軍団という意味では50以上あるJクラブの中でもNo.1である。

モンテネグロのマスロバルに韓国代表FWの崔龍洙、オーストリアのマリオ・ハースにスロベニアのネイツ・ペチュニク、パラグアイ代表のアランダにジェフの絶頂期を築いたイビチャ・オシム監督(ハリルホヂッチと同じボスニア・ヘルツェゴヴィナ)と多国籍な補強という意味ではトップクラスである。

しかし、そうした補強の裏には多くのポンコツ外国人の墓標がフクアリのピッチに刺さっていて、今シーズンのアルゼンチン出身のリーガ(スペインリーグ)の監督も「今年は信じていいよねっ?」と不安になる(昨シーズンの7連勝を信じたい)。

こうして今回は筆者の価値観である「怪物の多国籍軍団」というテーマで書いた訳だが、失敗したくないと同じ国同士で固まっていてもマンネリ化してしまう一方で、未知なる開拓地を探そうとしてもある種の「カントリーリスク」も内包する。外に打って出るのも難しいのである。