昨年(2016年)の話になってしまったがJ2でこの年のシーズンでプレーオフ決勝にまで進んだファジアーノ岡山というクラブの実質的な二軍球団にあたるJFL(4部リーグ)のファジアーノ岡山ネクスト(以下ネクスト)の活動停止が発表された。

正直、自分が応援しているクラブ以外の話なので、サッカー媒体でこのニュースを見た時には、何も感じなかった。

ところが、このニュースを後に日本サッカー界の貧困さが出て来ているようにも見えた。

ファジアーノ岡山のクラブ社長である木村正明氏は東大から外資の金融であるゴールドマンサックスの執行役員まで務めた人物で、自分の地元である岡山にもプロスポーツ文化を根付かせたい、という考えから赤字まみれで貧乏クラブの社長を引き受け、3年で黒字化に成功した。

そうした人物が岡山にサッカー文化を普及させようとして、トップチームで戦えるほどの選手ではない若手にJFLで出場機会を与えるために出来たのがネクストだった。

筆者が見てきたボクシングでも4回戦ボクサーを中心とした育成のための出場機会を設けるための興行というのもあるし、お笑いの爆笑問題・太田光の嫁(太田の芸能事務所の社長)が爆笑問題で生まれた利益を赤字覚悟で若手育成のためのお笑いライブを続けている、という話も聞く。若手に経験を積ませるために、利益にならないイベントを開いて若者を育成するというのは他業種でも珍しくはない。

よく「学校と軍隊と病院は国庫の金食い虫だ」という話があるが、戦争と一緒にする気はないが、サッカー選手という戦う集団を育てる学校のような組織であるネクストのようなチームは、ゴールドマンサックスの執行役員のような人でも金が掛かって仕方がないようなモノであったのだろう。

しかし、木村正明社長のクラブ育成力のあるような敬意を払うに値するフロントであっても、この決断は「もったいね〜」の一言である。

②でもこのことについて考えていきたい。