こうしてクリスマスイブに後楽園ホールのボクシング興行を見に行った筆者であるが、次の第3試合は48.6kg契約の6回戦、寺次考有希(てらじ・たかゆき)対富岡哲也との試合だった。

寺次は大分県のジムからわざわざ上京してこの試合に臨んだのに対し、富岡は新興のREBOOTジムのホープで軽量級では珍しく、勝星の4勝全てがKO勝ち(1敗)という強打者だ。

試合は軽量級らしくスピードと手数による軽打からスタートした。

両者とも速く細かいパンチをポコポコと当てる展開。少なくとも序盤は互角であった。

赤コーナーながら7勝4KO11敗1分という明らかな噛ませ犬の寺次も、この試合で20戦目という意味での経験値があったらしく序盤は東京のホープに致命打を打たせず、逆に応戦した。

そして2Rに寺次のフックがバランスを崩した富岡の身体に入ってダウン。カウント8を聞かせた。しかし、これは完全なフラッシュダウンでダメージは全くなかった。

この後、富岡は猛反撃に出る。勝星全KOながら、パンチ力というよりも柳明佑のソナギ(夕立)パンチのような典型的な手数型のラッシャーである富岡は、その細かいパンチをボディに散らして、寺次のガードの意識を上下に分散させる。

防御に対する的が絞れなくなった寺次はパンチをまともに貰い、徐々に劣勢になる。

そして、ダメージが蓄積された第4Rに寺次は真っ直ぐ立つことすらおぼつかない状態になり、そんな相手に富岡は無慈悲にボディブローを炸裂させる。

そのボディに悶絶した寺次に主審はノーカウントで試合をストップ。富岡がこの勝利もKOで飾った。〈③に続く〉

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