①ではスポーツにおける勝利至上主義が蔓延してしまったことを憂いている話をしたが、②ではスポーツにおける勝利以上に大切なモノとは何か?というのを述べていきたい。
筆者がこのブログを書くにあたってかなり影響を受けたスポーツ漫画がある。
ヤングジャンプで連載されていたアイスホッケー漫画で野田サトルの「スピナマラダ!」である。
今、野田サトル先生は「ゴールデンカムイ」という歴史アクション漫画で大ヒットしているが、筆者はこちらのアイスホッケー漫画が好きである。
この漫画で主人公の高校でアイスホッケー版PL学園のような絶対的強豪校・苫小牧勇払(ゆうふつ)高校が札幌の雪花(せっか)という不良の高校と練習試合をした。
雪花は反則ばかりする不良軍団であったが、そんな雪花を勇払は1年生主体のチームでフルボッコにする。反則ばかりしても勝てない雪花としては惨め極まりない状況であった。
試合終了後に勇払の監督である二瓶利光が、敵チームである雪花の選手を集めて檄(ゲキ)を飛ばすシーンがあった。
「苫小牧より子供の多い札幌には日本のアイスホッケーの未来が懸かっている」
「しかし、(作中では)札幌にただ1つしかない高校のアイスホッケー部が(反則ばかりで)誇りのないプレーをすれば、札幌の子供たちはアイスホッケーを選ばない。ホッケーを愛さないのだっ!」と…。
敗者である雪花の選手にも誇りのあるプレーがアイスホッケーには必要なのだ、と愛情深い言葉で監督は目先の勝利より大事なモノを選手たちに教えた。
もう、ここまでで勝利より大事なモノは分かったであろう。そう。勝利より大事なモノとは選手としての「誇り(矜持)」である。
もちろんこうした誇りというのは自分の虚栄心をゴマかすための他者否定ではなく、対戦相手をリスペクトした上でその競技を愛しつつも勝利を目指す、という考え方である。
この漫画ではないが、別の作品で「誇りに足る敗北は、卑しい勝利より尊い」とも言うが、ほとんどのスポーツではサッカーW杯でも甲子園でも優勝するのは1チームで、あとは全て敗北で終わる。
ならば勝利を目指すのと同じくらい「負け方」も考えないといけない。
もちろん、スポーツである以上勝利より目指すのは必要である。しかし、勝利に目がくらんで大切なモノを見失ってしまっては本末転倒である。本当に大切なモノは何かということを見定めないといけない。