①では高校球児と独立リーグのプレーヤーというのはハタチそこそこの普通の若者という意味ではさして中身は変わらないのに、何故ここまで扱いが変わるのか?という話だ。

高校球児はテレビ中継でエラーして結果負けても、ほとんどの視聴者はその選手の責任を責めない。しかし、高校の野球部を卒業して(しかも実質無給の)1〜2年の独立リーグ選手というのは試合をブチ壊すようなピッチングを片田舎の市民球場でやった日には、ダダ同然の入場券で入った営業をサボっているようなサラリーマンに罵倒される始末。アマならどんなミスをしてもいいのか?プロならミスに対して何を言ってもいいのか?という話である。

筆者が思うに1915年に生まれた高校野球には楽しみ方が既に不動のものとして構築されている一方で、2005年に生まれた独立リーグというものには、まだ楽しみ方の物差しが完成されていないだけである。同じ普通の若者がやる野球の大会でも90年という時代の差が楽しみ方の有無を生み出している。

筆者が思うに独立リーグの楽しみ方で1つ提案なのは外国人選手にあると考える。日本の独立リーグというのは海外の独立リーグと提携していて、向こうのAAクラスの外国人が多くNPBを目指して海を渡る。

筆者がよく見るJ2でもザスパクサツ群馬や(2016年はJ3だったが)栃木SCのようなJ1で戦うには戦力や資金力で見劣りするプロヴィンチャ(地方のサッカークラブ)でも質の高いブラジルFWを独自ルートで発掘して、J1や中東の金満クラブに売却するなど、クラブのインセンティブ収入にしているところは結構ある。

野球の独立リーグも同じことであって、日本人選手は草野球レベルであっても(それでも最近の独立リーグ選手は日本人投手も140km/hは出せるらしいが)、助っ人外国人がおらが町の球団でプレーしていたのが、NPBの球団にスカウトされて、いまではそこで4番打者になったとか言う話もあっていいはずだ(実際にBCリーグ群馬ダイヤモンドペガサスのカラバイヨは後にオリックスの4番にもなった)。

サッカーでもJ1の強豪クラブのサポーターは自分たちのクラブの勝利しか見えなくなって視野狭窄になるのと同じように、日本の古株の野球ファンもこうした落とし穴にハマる可能性もある。物事の楽しみ方というのは色々あっていいし、多様性に寛容になった方が人生もより豊かになる。