①ではNBAや日本のプロ野球についての伝統や歴史について述べてきた訳だが、翻って日本のサッカーについて考えるとどうなのか?というところまで前回までは言った。
話は前後するが、今ヤングジャンプで「ゴールデンカムイ」というアクション漫画で大人気の野田サトルという漫画家のデビュー作品のアイスホッケー漫画で、チームの伝統について監督が語るシーンがあった。
「アイスホッケーはまず1対1で勝つことが前提。1対1て勝てないならどんな高度な戦術も無意味だ」という持論を持ちながら、チームの選手たちに徹底的な体力強化と1対1で勝つためのスケーティング練習を課していた。
翻ってサッカーである。結果至上主義が跋扈(ばっこ)する現代のJで、チームのフロントや監督の中に哲学を維持しつつ、その哲学が連綿と繋がる「伝統」を持つクラブがどれだけ存在しているか?という話である。
筆者が考えるに今のJでそうしたクラブの伝統を構築する努力をしているチームはサンフレッチェ広島や鹿島アントラーズなど、数えるくらいである。
筆者の応援するJ2ジェフ千葉もそうだが、形だけのバルサのサッカーを真似て、どうにもならなくなって、無意味な補強をしているクラブがほとんどである。
前にも言った哲学もそうだが、チームの伝統というのもその地域の歴史やクラブや親会社の方向性や歴史、数多くの惨敗を肥やしにした七転八倒の試行錯誤の末に生まれるモノである。
前述のサンフレッチェにしても4年間で3度の日本一になった一方で、2度のJ2降格から這い上がった末の伝統でもある(2017年もその危機に瀕していたが…)。
日本のサッカー界はただカネで選手を補強して、哲学も伝統もなくただ昇格すればいいと考える関係者やサポは多い。
しかし、フロントや指導者に哲学が連なった伝統がなければ、勝利を続けられるいわゆる「常勝軍団」にはなれないのだ。要はただ勝てばいいというのではないのである。